A所有の甲土地を時効により取得したBは、その取得時効の完成前に甲土地をAから買ってその旨の登記を得たCに対し、登記なくして取得時効による所有権の取得を主張することができる。
解答:○
時効の完成前に登記を経た第三者に対しては、時効取得者は登記なくして時効取得を対抗することができる。
判例は、第三者のした登記の後に時効が完成した場合には、その第三者に対しては登記を経由しなくても時効取得を対抗できるとする。Cは時効の完成前にAから買って登記を得た者だから、Bは登記なくしてCに時効取得を主張できる。
根拠最判昭41.11.22
出典:法務省 令和8年度 土地家屋調査士試験を加工して作成
Aは、甲土地がB所有であることを知りながら、平穏に、かつ、公然と、甲土地の自主占有を開始し、その3年後、甲土地がA所有であると過失なく信じたCに対して甲土地を売却して引き渡した。この場合において、Cが、平穏に、かつ、公然と、甲土地の自主占有を開始し、7年が経過したときは、Cは、甲土地の所有権を時効により取得することができる。
解答:×
占有の承継人は自己の占有のみでも前主の占有を併せても主張できるが、併せれば瑕疵も承継する。
Cが自己の占有のみを主張すれば7年で、162条2項の10年に足りない。187条1項によりAの3年の占有を併せて主張すれば計10年になるが、同条2項によりAの悪意という瑕疵も承継するから、162条1項の20年が必要となり、やはり足りない。いずれにしてもCは時効取得できない。
根拠民法187条1項民法187条2項民法162条1項民法162条2項
出典:法務省 令和8年度 土地家屋調査士試験を加工して作成
AがB所有の甲土地を10年間占有したことを理由として甲土地の所有権の時効取得を主張する場合には、Aがその占有開始時に甲土地を自己の所有と信じたことにつき無過失であったことは推定されない。
解答:○
占有者は所有の意思をもって善意で占有するものと推定されるが、無過失であることは推定されない。
186条1項が推定するのは所有の意思・善意・平穏・公然の四つで、無過失は挙げられていない。10年の時効取得を主張するAについて、占有開始時の無過失は推定されない。
根拠民法186条1項大判大8.10.13
出典:法務省 令和8年度 土地家屋調査士試験を加工して作成
土地の賃借権を時効によって取得することはできない。
解答:×
所有権以外の財産権も、自己のためにする意思をもって継続的に行使すれば時効によって取得することができる。
163条は、所有権以外の財産権を自己のためにする意思をもって平穏かつ公然と行使する者は、20年又は10年を経過した後にその権利を取得するとする。土地の賃借権も所有権以外の財産権だから、時効取得の対象になる。
根拠民法163条
出典:法務省 令和8年度 土地家屋調査士試験を加工して作成
一筆の土地の一部のみを時効により取得することはできない。
解答:×
一筆の土地の一部であっても、占有した部分について時効により所有権を取得することができる。
判例は、取得時効の規定は物の全部を占有した場合と一部を占有した場合とを区別していないとし、土地のように区分して数個とすることができる物については、占有した一部を区分して一個の物として占有者に所有権を与える趣旨だとする。一筆の土地の一部のみの時効取得もできる。
根拠大判大13.10.7
出典:法務省 令和8年度 土地家屋調査士試験を加工して作成
解説は、条文・通達・判例の原典に当たって書いたものです。根拠として挙げた条文はリンク先でそのまま読めます。