問題文・条件
Aが所有し、所有権の登記名義人である甲土地についての物権的請求権に関する。
肢 ア
R1-1-ア
Bは、Aに無断で、甲土地上に乙建物を建て、乙建物につきBを所有権の登記名義人とする所有権の保存の登記をした。その後、Bは、Cに対し、乙建物を売却し、Cが乙建物の所有権を取得したが、乙建物の所有権の登記名義人は、Bのままであった。この場合において、Aは、甲土地の所有権に基づき、Bに対しては乙建物の収去を求めることができるが、Cに対しては乙建物の収去を求めることはできない。
解答:×
登記名義を残した前所有者にも、現所有者にも収去を求められる。
物権的請求権の相手方は、現に妨害状態を支配している者が原則。ただし、建物を譲渡した後も自らの意思で所有権の登記名義を残している者は、所有権を失ったと主張して収去義務を免れることはできない。AはB・Cのいずれにも収去を求められる。
根拠最判平6.2.8
出典:法務省 令和1年度 土地家屋調査士試験を加工して作成
肢 イ
R1-1-イ
Aは、Bに対し、甲土地を売却し、Bが甲土地の所有権を取得したが、甲土地の所有権の登記名義人は、Aのままであった。この場合において、甲土地をCが違法に占有しているときは、Bは、甲土地の所有権に基づき、Cに対し、甲土地の明渡しを求めることができる。
解答:○
不法占有者には登記なくして所有権を主張できる。
不法占有者は民法177条の第三者に当たらない。Bは登記がなくても所有権に基づいて明渡しを求められる。
根拠民法177条
出典:法務省 令和1年度 土地家屋調査士試験を加工して作成
肢 ウ
R1-1-ウ
Cは、乙動産を所有するBに無断で乙動産を持ち出し、A及びBに無断で甲土地上に乙動産を放置した。この場合において、Aが甲土地の所有権に基づき乙動産を所有するBに対して乙動産の撤去を請求したときは、Bは、乙動産を放置したのがCであることを理由に、その請求を拒絶することができない。
解答:○
妨害排除は、妨害物の所有者に求められる。
物権的請求権は現に妨害している状態を支配する者に向けられる。放置された乙動産の所有者はBであり、Bはその撤去義務を負う。持ち出して放置したのがCであっても、Bは撤去を拒めない。
出典:法務省 令和1年度 土地家屋調査士試験を加工して作成
肢 エ
R1-1-エ
Bは、20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と甲土地を占有していた。この場合において、Bが取得時効を援用した後は、Aは、Bに対して、甲土地につき、所有権に基づく物権的請求権を行使することができない。
解答:○
時効取得した者に対しては、旧所有者は所有権を主張できない。
20年の占有によりBは甲土地を時効取得し、援用によってその効果が確定する。時効取得は原始取得で、Aは所有権を失う。当事者であるBに対して、Aはもはや所有権に基づく請求ができない。
根拠民法162条1項民法145条
出典:法務省 令和1年度 土地家屋調査士試験を加工して作成
肢 オ
R1-1-オ
Bが甲土地に地役権を有する場合において、Cが違法に、かつ、恒常的に甲土地に自動車を駐車し、Bによる地役権の行使を妨げ、地役権を侵害しているときは、Bは、地役権に基づき、Aに対してはCによる地役権侵害行為を禁止するために必要な措置をとるように求めることはできるが、Cに対しては地役権侵害行為の禁止を求めることはできない。
解答:×
地役権者は、侵害者に対して直接に妨害排除を求められる。
地役権も物権であり、地役権者は承役地を不法に占有して行使を妨げる者に対し、直接に妨害の排除や予防を求めることができる。承役地の所有者Aを通す必要はなく、Cに対して侵害行為の禁止を求められる。
根拠最判平17.3.29
出典:法務省 令和1年度 土地家屋調査士試験を加工して作成