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最判平17.3.29

平成17年3月29日 最高裁判所第三小法廷 判決 一部破棄自判 大阪高等裁判所 平成15(ネ)18|車両通行妨害等禁止請求事件

この試験で問われる判示(判決原文より)

上告人は,地役権に基づく妨害排除ないし妨害予防請求権に基づき,被上告人に対し,このような行為の禁止を求めることができると解すべきである。

この判例が出題された肢(1肢)

R1-1-オ 地役権者は、侵害者に対して直接に妨害排除を求められる。 この肢を解く →

判決全文

主文1原判決のうち,上告人の通行地役権に基づく道路の目的外使用の禁止請求に関する部分を次のとおり変更する。

(1)第1審判決を次のとおり変更する。

ア被上告人は,神戸市a区b町c丁目d番e及びfの土地の東側に接する同町c丁目d番gの土地上に車両を恒常的に駐車させて,上告人による幅員2.8m未満,積載量2.5t以下の車両の通行を妨害してはならない。

イ上告人のその余の請求を棄却する。

(2)上告人の原審で拡張した請求を棄却する。

2上告人のその余の上告を棄却する。

3訴訟の総費用は,これを3分し,その1を上告人の,その余を被上告人の負担とする。

理由上告人の上告受理申立て理由第二の3について1原審の適法に確定した事実関係の概要は,次のとおりである。

(1)上告人は,神戸市a区b町c丁目d番h及びiの各土地(以下,併せて「上告人土地」という。

)を平成10年から11年にかけて順次取得し,これらを所有している。

被上告人は,同番e及びfの各土地(以下,併せて「被上告人土地」という。

)を所有し,自宅の敷地としている。

(2)神戸市a区b町c丁目d番gの土地(以下「本件通路土地」という。

)は,公道から被上告人土地の東側を通って上告人土地に通じる通路状の土地であり,上告人土地から公道に至る自動車による通行が可能な唯一の通路である。

(3)本件通路土地は,戦前から昭和30年代半ばにかけて同土地付近一帯を開発した分譲業者によって,公道から各分譲地に至る通路として開設された土地であり,当初は上記分譲業者の所有であったが,平成8年6月,地域住民の自治会であるD会(以下「D会」という。

)に所有権が移転され,その旨の所有権移転登記がされている。

なお,本件通路土地は,全面が舗装され,建築基準法42条1項5号の指定がされたいわゆる位置指定道路である。

(4)上記分譲業者は,最初に上告人土地の分譲を受けた者との間で,本件通路土地につき,幅員2.8m未満,積載量2.5t以下の自動車による通行を目的とし,同土地の幅員全部を対象とする通行地役権(以下「本件地役権」という。

)を設定する旨の合意をし,上告人は,上告人土地の取得に伴い本件地役権を承継取得した。

なお,D会は,平成11年5月,上告人に対し,上告人土地に上告人が個人用住宅を建築し,同土地の道路用地として本件通路土地を使用することに特に異議はない旨記載した文書を交付している。

(5)公道と接する付近の本件通路土地の幅員は2.8mしかなく,幅員2.8mを超える車両が本件通路土地を通行することは不可能である。

また,上告人土地と被上告人土地との間の本件通路土地の幅員は,約3.1m程度しかない部分がある。

(6)被上告人は,平成6年ころ,3台目の車両(普通乗用自動車,以下「本件車両」という。

)を購入したが,被上告人土地には2台分の車両駐車設備しかないため,本件車両を,被上告人土地東側の本件通路土地部分(以下「本件係争地」という。

)に恒常的に駐車するようになった。

本件車両を駐車させると,本件通路土地の残された幅員は約3m余りしかない。

(7)D会は,本件通路土地上に「道路上の駐車禁止」と記載された看板を設置するなどして,本件通路土地に車両を駐車することを禁じているが,被上告人に対し本件車両の撤去を求めることまではしていない。

2本件は,上告人が,本件係争地の通行を本件車両が妨害しているとして,本件係争地に上告人が有する本件地役権に基づき,被上告人に対し,本件係争地を道路の目的外に使用する行為の禁止等を求めた事案である。

なお,上告人の上記請求には,本件係争地における通行妨害行為の禁止を求める請求が含まれている。

3原審は,次のとおり判示して,上告人の請求を棄却すべきものとした。

本件地役権においては,本件通路土地のうちどの部分を通行すべきかの制約はないと解されるが,現況の道路全幅につき車両の自由通行を内容とするものとは認められない。

そして,本件通路土地の入口付近の幅員は2.8mしかないのに対し,被上告人が本件車両を駐車させている部分の残された幅員は3m余りあること,2.5t車の幅員はせいぜい1.8m程度であって,本件通路土地を通行し得る車両は,本件車両の脇を容易に通過できることからすると,本件車両によって上告人が本件通路土地を通行することが妨害されているとはいえない。

4しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。

その理由は,次のとおりである。

(1)本件通路土地が,宅地の分譲が行われた際に分譲業者が公道から各分譲地に至る通路として開設したものであること,本件地役権が,本件通路土地の幅員全部につき,上記分譲業者と宅地の分譲を受けた者との間の合意に基づいて設定された通行地役権であることに加え,分譲完了後,本件通路土地の所有権が,同土地を利用する地域住民の自治会に移転されたという経緯や,同土地の現況が舗装された位置指定道路であり,通路以外の利用が考えられないこと等にもかんがみると,本件地役権の内容は,通行の目的の限度において,本件通路土地全体を自由に使用できるというものであると解するのが相当である。

そうすると,本件車両を本件通路土地に恒常的に駐車させることによって同土地の一部を独占的に使用することは,この部分を上告人が通行することを妨げ,本件地役権を侵害するものというべきであって,上告人は,地役権に基づく妨害排除ないし妨害予防請求権に基づき,被上告人に対し,このような行為の禁止を求めることができると解すべきである。

本件車両を駐車させた状態での残余の幅員が3m余りあり,本件通路土地には幅員がこれより狭い部分があるとしても,そのことにより本件係争地付近における本件通路土地の通行が制約される理由はないから,この結論は左右されない。

そして,通行地役権は,承役地を通行の目的の範囲内において使用することのできる権利にすぎないから,通行地役権に基づき,通行妨害行為の禁止を超えて,承役地の目的外使用一般の禁止を求めることはできない。

(2)以上によれば,上告人の本件地役権に基づく道路の目的外使用禁止請求を全部棄却すべきものとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことの明らかな法令の違反がある。

論旨は理由がある。

そして,以上に説示したところによれば,上告人の上記請求は,被上告人に対し,本件係争地に車両を恒常的に駐車させて上告人による幅員2.8m未満,積載量2.5t以下の車両の通行を妨害してはならない旨を求める限度で認容すべきであり,その余は理由がないから棄却すべきである。

したがって,これと異なる原判決を主文第1項のとおり変更するのが相当である。

なお,その余の請求に関する上告については,上告受理申立て理由が上告受理の決定において排除されたので,棄却することとする。

よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官上田豊三裁判官金谷利廣裁判官濱田邦夫裁判官藤田宙靖)

出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索の全文PDF 確認 2026-09-04

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