平成19年度・問2

土地家屋調査士 平成19年度 過去問・解答 問2

平成19年度土地家屋調査士試験の問2です。全5肢の問題文と○×の解答を掲載しています。

問題文・条件

判例の趣旨に照らし、AがCに対して(Dが登場する事例ではDに対して)不動産又は動産の所有権を主張することができるか。

肢 ア

H19-2-ア民法

Aは、Bにだまされて自己所有の不動産をBに売ったが、Bの詐欺に気付き、Bに対して売買契約を取り消すとの意思表示をした。しかし、取消しまでの間に、Bが善意のCに当該不動産を売ってしまっていた。

解答:×

詐欺取消しは取消し前の善意無過失の第三者に対抗できず、その第三者に登記は要らない。

Cは取消しの意思表示より前に、詐欺の事実を知らずにBから買い受けた第三者である。

出題当時と現行法:出題当時の民法96条3項は、詐欺による取消しを「善意の第三者」に対抗できないとしていたので、善意のCには対抗できず、公式解答は✕だった。平成29年改正(令和2年4月1日施行)で「善意でかつ過失がない第三者」に改められたので、現行法では、Cに過失がないときに限りAは取消しをCに対抗できない。問題文はCの過失の有無を示していないので、現行法ではこれだけでは✕と決まらない。

根拠民法96条3項

出典:法務省 平成19年度 土地家屋調査士試験を加工して作成

肢 イ

H19-2-イ民法

Aは、Bに強迫されて自己所有の不動産をBに売ったが、強迫状態を脱し、Bに対して売買契約を取り消すとの意思表示をした。しかし、取消しまでの間にBが善意のCに当該不動産を売ってしまっていた。

解答:○

強迫による意思表示の取消しは、善意の第三者に対しても、登記がなくても対抗することができる。

3項が対抗できないとするのは「詐欺による」意思表示の取消しだけで、強迫による取消しについてこれに当たる定めはない。

根拠民法96条3項

出典:法務省 平成19年度 土地家屋調査士試験を加工して作成

肢 ウ

H19-2-ウ民法

Aは、自己所有の不動産の登記がBの名義になっていることを知りながら、この状態を事実上容認し、長期間放置していた。Bは当該不動産の登記がBの名義になっていることを利用して、善意のCに当該不動産を売ってしまった。

解答:×

虚偽の登記名義を承認し又は放置した者は、通謀がなくても善意の第三者に対抗できない。

AとBの通謀はないが、AはB名義の登記を知りながら事実上容認して長期間放置しており、虚偽の外観の存続を黙示に承認していたといえる。

根拠民法94条2項最判昭45.9.22

出典:法務省 平成19年度 土地家屋調査士試験を加工して作成

肢 エ

H19-2-エ民法

Aは、B所有の不動産をBから購入したがいまだ所有権の移転の登記を経由していなかった。Cは、この事情を十分に知りつつ専らAを害する目的で、当該不動産をBから購入して所有権の移転の登記を完了し、さらに、善意のDに当該不動産を転売し、Dへの所有権の移転の登記をした。

解答:×

背信的悪意者からの転得者は、自らが背信的悪意者でない限り、登記の欠缺を主張できる。

専らAを害する目的のCは背信的悪意者だが、善意で買い受けて登記を経たDは自ら背信的悪意者と評価される者ではない。

根拠民法177条最判平8.10.29

出典:法務省 平成19年度 土地家屋調査士試験を加工して作成

肢 オ

H19-2-オ民法

Aは、B所有の動産をBから買ったが、後日持ち帰ることにして、当該動産をBに保管してもらっていた。しかし、Bは、善意のCにも当該動産を売ってしまい、Cの依頼を受けてCのために当該動産を保管していた。

解答:○

動産の対抗要件である引渡しには占有改定が含まれ、先に占有改定を受けた譲受人が所有権を対抗することができる。

AはBが以後Aのために保管する形で占有改定による引渡しを受け、対抗要件を備えている。

根拠民法178条民法183条

出典:法務省 平成19年度 土地家屋調査士試験を加工して作成

解説は、条文・通達・判例の原典に当たって書いたものです。根拠として挙げた条文はリンク先でそのまま読めます。

この問題からクイズを始める 平成19年度の問題一覧へ 年度一覧へ トップへ