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最判平13.7.10(土地所有権移転登記手続請求事件)

平成13年7月10日 最高裁判所第三小法廷 判決 破棄差戻 東京高等裁判所 平成10(ネ)2675
事件番号 平成11(受)223

この試験で問われる判示(判決原文より)

被相続人の占有により取得時効が完成した場合において,その共同相続人の一人は,自己の相続分の限度においてのみ取得時効を援用することができるにすぎないと解するのが相当である。

この判例が出題された肢(1肢)

H23-2-エ 共同相続人は、自己の相続分の限度でしか援用できない。 この肢を解く →

判決全文

主文原判決を破棄し,本件を東京高等裁判所に差し戻す。

理由上告代理人小林浩平,同近藤直子の上告受理申立て理由第一について1本件訴訟は,被上告人が,同人の父である亡D(以下「D」という。

)が第1審判決物件目録記載の土地建物(以下「本件不動産」と総称する。

)の占有を20年継続したことによって,その所有権を時効取得したと主張して,本件不動産の登記名義人である上告人(Dの弟)に対し,本件不動産の全部につき,取得時効を原因とする被上告人への所有権移転登記手続を求めるものである。

原審の確定した事実関係の概要は,次のとおりである。

(1)本件不動産には,昭和35年6月28日受付同日売買を原因として,上告人名義の所有権移転登記が経由されている。

(2)Dは,昭和35年6月28日,本件建物に居住して本件不動産の占有を開始し,昭和55年6月28日当時も本件不動産を占有していた。

(3)Dは,昭和62年12月19日死亡し,その法定相続人は,妻E,長男F,二男被上告人及び長女Gである。

(4)被上告人は,本訴において,Dの占有によって完成した取得時効を援用した。

2原審は,前記事実関係の下で,Dが本件不動産の所有権を時効取得したとして,本件不動産の全部につき被上告人への所有権移転登記手続を求める請求を全部認容すべきものとした。

しかしながら,時効の完成により利益を受ける者は自己が直接に受けるべき利益の存する限度で時効を援用することができるものと解すべきであって,【要旨】被相続人の占有により取得時効が完成した場合において,その共同相続人の一人は,自己の相続分の限度においてのみ取得時効を援用することができるにすぎないと解するのが相当である。

これを本件についてみると,Dの法定相続人の間で本件不動産の全部を被上告人が取得する旨の遺産分割協議が成立したなどの事情があれば格別,そのような事情がない限り,被上告人は,Dの占有によって完成した取得時効の援用によって,本件不動産の全部の所有権を取得することはできないものというべきである。

そうすると,これと異なり,本件不動産の全部について,被上告人の所有権移転登記手続請求を認容した原審の判断には,民法145条の解釈適用の誤りがあるといわざるを得ず,この違法は原判決の結論に影響を及ぼすことが明らかである。

論旨はこれと同趣旨をいうものとして理由があり,原判決は破棄を免れない。

そして,本件については,遺産分割協議の成否等Dの相続人間における本件不動産の帰属について更に審理を尽くさせる必要があるから,本件を原審に差し戻すこととする。

よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官金谷利廣裁判官千種秀夫裁判官奥田昌道裁判官濱田邦夫)

出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索の全文PDF 確認 2026-08-26

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