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最判昭32.9.19(不動産所有権取得登記の抹消登記手続請求)

昭和32年9月19日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 仙台高等裁判所 秋田支部
事件番号 昭和27(オ)128

この試験で問われる判示(判決原文より)

民法一七七条は第三者の善意を要求してはいないのである。

この判例が出題された肢(1肢)

R6-2-ア 177条は第三者に善意を求めていない。単純悪意者にも登記が要る。 この肢を解く →

判決全文

主文本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由上告代理人弁護士米沢多助の上告理由第一点二の(一)及び三について。

しかしながら、いうところの表見相続人に対し特定の相続財産の承継取得の効力を争う場合であつても、相続の無効を理由とする限り一つの回復請求権の行使に外ならないから、真正の相続人が家督相続回復の手続によつて、これをなすは格別、第三者はその効力を争い得ないものと解するを相当とする。

されば、右と同趣旨の見解の下に第三者である上告人は原判示Dの表見相続人である被上告人Bに対し、その相続の無効を主張して相続財産の一部である本件第一、二号不動産の承継取得の効力を争い得べきでないとの趣旨を判示した原判決の判断は正当と認める。

それ故原判決には所論の違法はない。

第一点二の(二)及び四について。

しかしながら、本件不動産が上告人先代に贈与された事実を被上告会社代表者が知つていたとしてもそのことだけで被上告会社が登記の欠缺を主張し得る第三者でないとはいえない。

民法一七七条は第三者の善意を要求してはいないのである。

また、論旨は右会社代表者は訴外Eと通謀の上本件換価競売を申し立て自ら競買人となつたのであり、元来右両名は本件不動産を不法に奪取する目的で策動したものであり登記の欠缺を主張するが如きは信義誠実の原則に反するが故に法の保護する第三者と認むべきではないとうが、原判決は右通謀の事実も不法奪取の目的も、ともになかつたものと認定してをり、その認定に供された証拠によればそのような認定も首肯できないわけではないから、右所論は前提を欠き採用し得べき限りではない。

要するに原判決には所論の違法はなく論旨は採用できない。

第一点二の(三)及び五について。

しかしながら、本件において上告人は被上告人Bの相続の無効を理由として本件不動産の承継取得の効力を争い得ないことは前段説示のとおりであるから、上告人は右相続の前提である所論被上告人の身分関係をも争い得ない筋合であつて、従つてEが右Bの親権者としてなした所論限定承認及び競売の申立に基いてなされた本件不動産の所有権の移転が有効であるとした原判決究極の判断は正当といわざるを得ない。

論旨は右と相容れない独自の見解は立脚するものであつて採るを得ない。

第一点二の(四)及び第二点について。

論旨は「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」所定の主張に該当しないから上告適法の理由とするを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官下飯坂潤夫裁判官真野毅裁判官斎藤悠輔裁判官入江俊郎

出典: 裁判所ウェブサイト 裁判例検索の全文PDF 確認 2026-08-26

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