申請の取下げと却下
申請人は登記が完了するまで申請を取り下げられる(規則39条)。
- 登記完了後はできない
- 取下げは書面申請なら取下書の提出、電子申請なら電子情報処理組織を使って取下げの情報を提供する方法による
- 一の申請情報で二以上の申請をしたときは一部だけの取下げもできる
- 却下事由は法25条が列挙し、補正できる不備は登記官が定めた相当の期間内に補正すれば却下されない
- 却下の決定書は電子申請でも書面で作って交付する
この項目で問われること
いつまで取り下げられるか(登記完了まで。事前通知がされていても、不正の疑いがあってもできる)、方法(電子申請は電子情報処理組織で)、一部取下げ、却下(補正期間、調査の結果と合致しないときの却下、決定書は書面)、取下げ・却下のときの添付書面の還付と委任(何を添付するかの項目)。
却下・取下げのときの還付何を添付するか
- 取下げのときは申請書と添付書面が還付される
- 却下のときに還付されるのは添付書面だけで、申請書・申出書そのものは還付されない
- 不正な登記の申請に用いられた疑いがある書面は還付しない
- 代理権限証書を除く扱いはない
- 補正のための取下げに特別の委任は要らないが、撤回のための取下げには取下げについての委任状が要る(申請の委任状は転用できない)
- 申請後に本人が申請の意思を撤回しても、取下げの委任を受けていない代理人は取り下げられない
この項目の肢(9)
- H17-18-ア◯書面申請が却下されたときは、偽造された書面その他の不正な登記の申請のために用いられた疑いがある書面を除き、添付書面は還付される。→ 書面申請が却下されたときは添付書面が還付されるが、不正な登記の申請のために用いられた疑いがある書面は還付されない。
- H21-13-オ✕書面を提出する方法による地図訂正の申出について取り下げ又は却下があったときは、申出書及びその添付書面は、申請人に還付される。→ 却下のときに還付されるのは添付書面だけで、申出書は還付されない。
- H22-8-エ✕代理人が書面申請の方法によって行った登記の申請を取り下げた場合には、申請書及び代理権限証書を除いた添付書面が還付される。→ 還付されるのは申請書及びその添付書面であり、代理権限証書を除く扱いはされていない。
- H22-9-エ✕土地の合筆の登記の申請の委任を受けた代理人が、当該申請を補正のために取り下げるには、委任者から特別の委任を受けなければならない。→ 補正のための取下げに、特別の委任は要らない。
- H28-5-エ◯申請の却下又は取下げがあったときは、特例方式により提出された添付書面は、偽造された書面その他の不正な登記の申請のために用いられた疑いのある書面を除き、申請人に還付される。→ 却下・取下げのときは添付書面を還付する。不正の疑いがあるものは除く。
- H28-7-ウ◯委任による代理人により土地の分筆の登記を申請した後に、申請意思の撤回により当該代理人が当該登記の申請を取り下げるときは、当該登記の申請の取下げに関する委任状を添付しなければならない。→ 撤回による取下げには、取下げについての委任状が要る。
- H29-10-エ✕書面申請の方法による登記の申請が却下されたときは、偽造された書面その他の不正な登記の申請のために用いられた疑いがある書面を除き、申請書及びその添付書面はいずれも還付される。→ 却下のときに還付されるのは添付書面。申請書は還付されない。
- R1-17-エ✕地図に準ずる図面に表示された土地の形状に誤りがあるとして書面を提出する方法により地図等の訂正の申出をした場合において、その申出を取り下げたとき又は申出が却下されたときは、当該申出に係る申出書及びその添付書面は申出人に還付される。→ 却下のときに還付されるのは添付書面。申出書は還付されない。
- R2-4-ア◯Bは、土地の合筆の登記を申請した後にAが登記申請意思を撤回した場合、当該申請を取り下げることはできない。→ 申請の撤回のための取下げには、取下げについての委任状が要る。申請の委任状は転用できない。
取下げと却下手続と制度
- 取下げは登記が完了するまでできる
- 完了後はできない
- 事前通知がされていても、不正な申請の疑いがあっても、完了前なら取り下げられる(不正の疑いは取下げの制限事由ではない)
- 一の申請情報で二以上の申請をしたときは、その一部だけを取り下げられる
- 電子申請の取下げは、電子情報処理組織を使用して取下げの情報を提供する方法による
- 取下げのときの添付書面は、代理人によって申請されていれば代理人に交付すれば足りる
- 却下
補正できる不備は、登記官が定めた相当の期間内に補正すれば却下されない- 登記官の調査(法29条)の結果と申請が合致しないときは却下(筆界が確認できなければ地積も確かめられない)
- 却下の決定書は電子申請でも書面で作成して交付する
- 登記官の調査権は「当該不動産の表示に関する事項」に及び、表題部所有者の認定を除外する限定はない
- 登記識別情報を提供できない正当な理由があるときは事前通知
- 管轄が転属した後は、移送前でも旧登記所には申請できない
- 一の申請情報で二以上の登記の目的を申請し、一部にだけ却下事由があるときは、その分だけが却下され、全部が却下されるのではない
この項目の肢(15)
- H17-18-イ✕登記の申請がされた場合において、登記官が、当該登記の申請が不正な登記の申請であるとの疑いがあると認めたときは、申請人は、当該登記の申請を取り下げることができない。→ 申請の取下げができなくなるのは登記完了後であり、不正な申請の疑いがあることは取下げの制限事由とされていない。
- H17-18-ウ✕登記識別情報の提供を要する登記の申請がされた場合において、登記官が事前通知をしたときは、申請人は、登記名義人が当該事前通知に対して回答をするまでの間は、当該申請を取り下げることができない。→ 事前通知がされていても、登記が完了するまでは申請を取り下げることができる。
- H17-18-エ◯土地の分筆の登記及び当該分筆後の一の土地と他の土地との合筆の登記の申請を一の申請情報によってしたときでも、申請人は、合筆の登記の申請のみを取り下げることができる。→ 一の申請情報によって2以上の申請がされた場合には、その一部だけを取り下げることができる。
- H17-18-オ◯申請の取下げは、登記完了後は、することができない。→ 申請の取下げは、登記完了後はすることができない。
- H22-8-ア◯登記が完了した後は、理由のいかんを問わず、その申請を取り下げることができない。→ 申請の取下げは、登記完了後はすることができない。
- H22-8-ウ✕電子申請の方法によって行った登記の申請は、その申請を取り下げる旨の情報を記載した書面を登記所に提出する方法によって、取り下げることができる。→ 電子申請の取下げは、電子情報処理組織を使用して取下げの情報を提供する方法による。
- H22-8-オ◯一の申請情報により二以上の登記の申請を行った場合であっても、そのうちの一部の申請を取り下げることができる。→ 一の申請情報による2以上の申請について、その一部だけを取り下げることができる。
- H29-10-ア◯電子申請の方法による登記の申請の取下げは、電子情報処理組織を使用して申請を取り下げる旨の情報を登記所に提供する方法によってしなければならない。→ 電子申請の取下げは、電子情報処理組織を使って取下げの情報を提供する。
- H29-10-イ✕登記官が登記を完了した後であっても、登記完了証が交付されるまでの間は、登記の申請の取下げをすることができる。→ 登記が完了した後は、取り下げられない。
- H29-10-オ✕委任による代理人によってされた登記の申請が却下されるときであっても、却下決定書は、当該登記の申請人に交付され、当該代理人に交付されることはない。→ 代理人によって申請されたときは、代理人に交付すれば足りる。
- R3-4-オ✕当該申請の取下げは、その申請を取り下げる旨の情報を記載した書面を登記所に提出する方法によってすることができます。→ 電子申請の取下げは、電子情報処理組織を使用してする。
- R3-6-イ◯地積に関する更正の登記の申請について、登記官による調査の結果、当該申請に係る土地の筆界を確認することができない場合には、当該登記の申請は却下される。→ 調査の結果と合致しないときは却下。筆界が確認できなければ地積も確かめられない。
- R3-6-エ◯登記の申請に不備があっても、その内容が補正することができるものであり、登記官が定めた相当の期間内に申請人がこれを補正したときは、当該登記の申請は却下されない。→ 相当の期間内に補正すれば却下されない。
- R3-6-オ✕電子申請の方法によってされた登記の申請を却下するときは、その決定書は電磁的記録をもって作成される。→ 却下の決定書は書面で作成して交付する。電子申請でも同じ。
- R3-6-ア✕一の申請情報によって二以上の登記の目的に係る登記の申請がされた場合において、当該登記の申請のうち一の登記の目的に係る申請についてのみ却下すべき事由があるときは、当該登記の申請の全部が却下される。→ 却下されるのは、事由のある登記の目的の分だけ。全部ではない。
根拠
不動産登記法第25条申請の却下
登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、登記の申請を却下しなければならない。ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、登記官が定めた相当の期間内に、申請人がこれを補正したときは、この限りでない。
1号申請に係る不動産の所在地が当該申請を受けた登記所の管轄に属しないとき。
2号申請が登記事項(他の法令の規定により登記記録として登記すべき事項を含む。)以外の事項の登記を目的とするとき。
3号申請に係る登記が既に登記されているとき。
4号申請の権限を有しない者の申請によるとき。
5号申請情報又はその提供の方法がこの法律に基づく命令又はその他の法令の規定により定められた方式に適合しないとき。
6号申請情報の内容である不動産又は登記の目的である権利が登記記録と合致しないとき。
7号申請情報の内容である登記義務者(第六十五条、第七十六条の五、第七十七条、第八十九条第一項(同条第二項(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)及び第九十五条第二項において準用する場合を含む。)、第九十三条(第九十五条第二項において準用する場合を含む。)又は第百十条前段の場合にあっては、登記名義人)の氏名若しくは名称又は住所が登記記録と合致しないとき。
8号申請情報の内容が第六十一条に規定する登記原因を証する情報の内容と合致しないとき。
9号第二十二条本文若しくは第六十一条の規定又はこの法律に基づく命令若しくはその他の法令の規定により申請情報と併せて提供しなければならないものとされている情報が提供されないとき。
10号第二十三条第一項に規定する期間内に同項の申出がないとき。
11号表示に関する登記の申請に係る不動産の表示が第二十九条の規定による登記官の調査の結果と合致しないとき。
12号登録免許税を納付しないとき。
13号前各号に掲げる場合のほか、登記すべきものでないときとして政令で定めるとき。
不動産登記規則第39条申請の取下げ
申請の取下げは、次の各号に掲げる申請の区分に応じ、当該各号に定める方法によってしなければならない。
1項1号電子申請 法務大臣の定めるところにより電子情報処理組織を使用して申請を取り下げる旨の情報を登記所に提供する方法
1項2号書面申請 申請を取り下げる旨の情報を記載した書面を登記所に提出する方法
2項申請の取下げは、登記完了後は、することができない。
3項登記官は、書面申請がされた場合において、申請の取下げがされたときは、申請書及びその添付書面を還付するものとする。前条第三項ただし書の規定は、この場合について準用する。
不動産登記法第29条登記官による調査
1項登記官は、表示に関する登記について第十八条の規定により申請があった場合及び前条の規定により職権で登記しようとする場合において、必要があると認めるときは、当該不動産の表示に関する事項を調査することができる。
2項登記官は、前項の調査をする場合において、必要があると認めるときは、日出から日没までの間に限り、当該不動産を検査し、又は当該不動産の所有者その他の関係者に対し、文書若しくは電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの提示を求め、若しくは質問をすることができる。この場合において、登記官は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。