建物の滅失の登記
建物が取壊し・焼失などで建物でなくなったときにする報告的登記。
- 表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分の登記がある建物は所有者)が、滅失の日から1か月以内に申請する義務がある(法57条)
- 添付情報はなく(共用部分の登記がある建物は所有者を証する情報)、権利者の承諾も要らない
- 滅失の登記をすると登記記録は閉鎖される
この項目で問われること
滅失にあたるか(主要構造部が残り使用できるなら滅失ではない。附属建物だけの取壊しは変更の登記。再築は滅失+新築。初めから区分の実体がない登記は錯誤による滅失の登記)、申請人・義務・添付情報・承諾(各項目へ)、申請情報(附属建物の取壊し日は要らない、種類・構造・床面積は名称では省けない)。土地の滅失(海没)は土地の滅失の項目。
滅失にあたるかどう認定するか
- 主要構造部が残っていて使用できるなら滅失ではない
この項目の肢(1)
- H23-13-オ◯鉄筋コンクリート造の建物について、火災により建物の内部の一部が焼失したが、主要構造部分が残存し、使用目的に従った使用が可能であるときは、建物の滅失の登記を申請することはできない。→ 主要構造部が残り使用できるなら、滅失ではない。
滅失の登記になる場面どの登記によるか
- 再築は既存の建物の滅失と新たな建物の新築として扱う
- 滅失の登記と表題登記
- 初めから区分の実体がない(区分建物でなかった)登記は、錯誤による滅失の登記で消す
- 土地は、春分・秋分の満潮位より下になれば陸地でなくなり滅失
- 一時的な海没なら所有権は消えず滅失の登記にはならない
この項目の肢(4)
- H23-13-ア◯表題登記がある建物を全て取り壊し、その材料を用いて建物を再度建築したときは、表題登記がある既存建物について、建物の滅失の登記を申請しなければならない。→ 再築は既存の建物が滅失し新たな建物が建築されたものとして取り扱われる。
- H23-13-エ◯区分した建物として登記がされているが、初めから区分した状態になかったことが明らかな建物については、錯誤を登記原因として建物の滅失の登記を申請しなければならない。→ 初めから区分の実体がない登記は、錯誤による滅失登記。
- H29-13-ウ✕A欄: 天災等の自然現象によって一筆の土地の全部が海面下に没したが、その状態が一時的なものである場合 B欄: 滅失の登記→ 一時的な海没なら所有権は消えない。滅失の登記にはならない。
- R1-6-エ◯はい、土地の滅失の登記を申請する必要があります。→ 春分・秋分の満潮位より下になれば、陸地でなくなる。
建物の滅失誰が申請できるか
- 申請人は表題部所有者又は所有権の登記名義人
- 仮登記名義人、敷地の所有者は不可
- 売った後でも移転の登記前なら名義人が申請する
- 相続人は相続登記を経ずに申請でき、共同相続人の一人からできる
- 他の相続人の同意は要らない
- 一棟の建物が全部滅失したときは、区分建物の所有者の一人から一棟全部の滅失の登記を申請できる
- 一棟の滅失登記という独立の登記があるわけではない
この項目の肢(15)
- H19-18-ア◯被相続人が所有権の登記名義人である建物について、被相続人の死亡後、所有権の移転の登記をする前に相続人の一人が当該建物を取り壊した場合には、他の相続人が建物の滅失の登記の申請をすることができる。→ 相続人の一人が取り壊しても、他の相続人が申請できる。
- H20-4-ア✕建物を相続により取得した者が複数いる場合において、被相続人名義のままその建物を取り壊したときは、その取得者の1人は、その建物を取得した他の共同相続人の同意を証する情報を提供しなければ、当該建物の滅失の登記を申請することができない。→ 滅失の登記は、他の相続人の同意なく単独で申請できる。
- H20-4-ウ✕A所有の土地の上に借地人B名義の既登記の建物がある場合、Bの承諾を得てAが建物を取り壊したときは、Aは、Bの承諾を証する情報を提供して、当該建物の滅失の登記を申請することができる。→ 建物の滅失の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は申請できない。
- H21-19-エ◯一棟の建物に属する区分建物の全部が滅失した場合、その一棟の建物に属する区分建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人の一人は、単独で一棟の建物の滅失の登記を申請することができる。→ 一棟全部の滅失の登記は、区分建物所有者の一人からの申請で足りる。
- H23-13-ウ◯所有者が異なる区分建物が属する一棟の建物が滅失した場合において、区分建物の滅失の登記を申請するときは、区分建物の所有権の一人が一棟の建物の滅失の登記を申請することができる。→ 一棟が滅失したときは、区分建物所有者の一人から一棟全部の滅失の登記を申請できる。
- H25-15-オ◯被相続人の死亡前に滅失した被相続人名義の所有権の登記がされている建物の滅失の登記の申請は、共同相続人の一人がすることができる。→ 滅失の登記は、共同相続人の一人が申請できる。
- H26-7-イ✕Aが所有権の登記名義人である土地上にBが所有権の登記名義人である建物が所在している場合において、当該建物が取り壊されて滅失したときは、Aは、その滅失の日から1か月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。→ 建物の滅失の登記を申請する義務を負うのは、その建物の表題部所有者又は所有権の登記名義人である。
- H27-15-イ✕一棟の建物の全部を取り壊したときは、その一棟の建物に属する区分建物の所有権の登記名義人は、自己が所有する区分建物の滅失の登記と一棟の建物の滅失の登記とを一の申請情報で申請しなければならない。→ 申請するのは区分建物の滅失の登記で、一棟の滅失登記はない。
- R2-17-ウ✕焼失した建物に所有権の移転の仮登記がされている場合において、当該仮登記の登記名義人は、消防署の焼失の証明書及び所有権の登記名義人の承諾を証する情報を提供すれば、当該建物の滅失の登記の申請をすることができる。→ 滅失の登記を申請できるのは表題部所有者か所有権の登記名義人。仮登記名義人は入らない。
- R2-17-エ✕建物の所有権の登記名義人が死亡した後に当該建物が滅失した場合、その相続人は、相続による所有権の移転の登記を行った後でなければ、当該建物の滅失の登記を申請することができない。→ 相続人は、相続登記をしなくても表示に関する登記を申請できる。
- R2-17-オ◯所有者が異なる数個の区分建物が属する一棟の建物が滅失した場合において、一棟の建物の滅失の登記の申請は、区分建物の所有者の一人からすることができる。→ 一棟の建物の滅失の登記は、区分建物の所有者の一人から申請できる。
- R3-17-ア◯甲建物の所有権の登記の登記名義人であるAがBに対して甲建物を売却したが、AからBに対する所有権の移転の登記がされる前に甲建物が滅失した場合には、Aは、甲建物の滅失の登記を申請することができる。→ 滅失の登記を申請するのは所有権の登記名義人。売ったかどうかは登記記録に現れない。
- R6-17-イ✕甲建物の所有権の登記名義人であるAが死亡した後に甲建物が滅失した場合には、Aの相続人であるBは、甲建物について相続を原因とする所有権の移転の登記がされた後に、甲建物の滅失の登記を申請しなければならない。→ 相続人は、相続登記を経ずに滅失の登記を申請できる。
- R6-17-ウ◯所有者がいずれも異なる複数の区分建物が属する一棟の建物が滅失した場合には、一棟の建物の滅失の登記の申請は、区分建物の所有者の一人ですることができる。→ 一棟の建物の滅失の登記は、区分建物の所有者の一人からできる。
- R6-17-エ✕所有権の移転の仮登記がある建物が滅失した場合には、当該仮登記の登記名義人は、当該建物の滅失の登記を申請することができる。→ 申請できるのは表題部所有者か所有権の登記名義人。仮登記名義人は入らない。
建物の滅失いつまでに申請しなければならないか
- 滅失の日から1か月以内
- 敷地の権利の登記があるかどうかは関係しない
- 区分建物の一部が滅失したとき、残った建物の変更の登記まで義務づける定めはない
この項目の肢(2)
- H29-18-エ◯借地上に存する建物の所有権の登記名義人が当該建物を建替えのために取り壊した場合には、当該借地に賃借権の設定の登記がされていないときであっても、当該建物の所有権の登記名義人は、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。→ 建物が滅失した以上、敷地の権利の登記の有無に関係なく申請義務がある。
- H19-18-オ✕一棟の建物がいずれもAが所有する甲・乙2個の敷地権付き区分建物で構成されている場合において、甲建物のみが滅失したときは、Aは、甲建物の滅失の登記とともに、乙建物について、敷地権であった権利が敷地権でない権利となったことによる建物の表題部に関する変更の登記及び乙建物を非区分建物とする建物の表題部に関する変更の登記を申請しなければならない。→ 残った建物の変更の登記まで義務づける定めはない。
滅失の登記の一括申請まとめて申請できるか
- 滅失の登記と表題登記(跡地の新築)、滅失の登記と表題部の変更の登記は、いずれも列挙に無いので一の申請情報にできない
- 登記名義人が同じでも同じ
- 区分建物の一部が滅失して残りが区分建物でなくなるときも、滅失の登記と残りの変更の登記を併せて申請しなければならない定めはない
この項目の肢(5)
- H19-16-エ✕甲建物を取り壊してその跡地に乙建物を新築した場合における建物の滅失の登記及び建物の表題登記→ 建物の滅失の登記と建物の表題登記は、別の不動産についての登記であり、一の申請情報ではできない。
- H23-10-オ✕同一の登記所の管轄区域内にある甲建物の滅失の登記と乙建物の表題登記は、登記名義人が同一であれば、一の申請情報で申請することができる。→ 滅失の登記と表題登記は登記の目的が異なるので、一の申請情報で申請できない。
- R1-11-ウ◯甲建物を取り壊して、その敷地上に乙建物を新築した場合に、甲建物についての建物の滅失の登記と、乙建物についての建物の表題登記は、一の申請情報によって申請することができない。→ 滅失の登記と表題登記の組合せは、列挙されていない。
- R1-18-ウ✕一棟の建物が甲区分建物と乙区分建物からなる場合において、乙区分建物のみが滅失したときは、乙区分建物の滅失の登記の申請と甲区分建物を区分建物でない建物に変更する表題部の変更の登記の申請は、併せてしなければならない。→ 併せて申請しなければならないとする規定はない。
- R3-17-オ✕一棟の建物がいずれもAが所有権の登記名義人である甲区分建物及び乙区分建物のみで構成されている場合において、乙区分建物が滅失したときは、Aは、乙区分建物の滅失の登記と、甲区分建物を区分建物でない建物とする建物の表題部の変更の登記とを、一括して申請しなければならない。→ 滅失の登記と表題部の変更の登記は、別の目的。一括申請の定めはない。
建物の滅失何を添付するか
- 滅失の登記に図面は要らない
- 共用部分・団地共用部分である旨の登記がある建物の滅失には所有者を証する情報(所有権を証する情報)を提供して所有者が申請する
- 申請人・委任状に印鑑証明書は要らない
- 委任状は調査士報告方式の対象
- 代理人が作った書面はスキャンの対象外
この項目の肢(5)
- H19-5-ア◯団地共用部分である旨の登記がある建物について建物の滅失の登記の申請をする場合には、当該建物の所有者を証する情報を登記所に提供しなければならない。→ 共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の滅失の登記には、当該建物の所有者を証する情報を提供する。
- H20-4-エ◯共用部分である旨の登記がされている建物を取り壊した場合は、当該建物の所有権を証する情報を提供して、その所有者の1人から建物の滅失の登記を申請することができる。→ 共用部分である旨の登記がある建物の滅失の登記は、所有者を証する情報を提供して所有者が申請する。
- H29-18-イ✕建物図面が備え付けられていない建物を取り壊した場合において、当該建物の滅失の登記の申請をするときは、当該建物が存していた場所を特定するために建物図面を添付しなければならない。→ 滅失の登記に、建物図面は要らない。
- H29-18-ウ◯団地共用部分である旨の登記がある建物の滅失の登記を申請する場合には、当該建物の所有者を証する情報を添付しなければならない。→ 共用部分である旨の登記がある建物の滅失には、所有者を証する情報が要る。
- R3-17-エ◯共用部分である旨の登記がされている建物が滅失したために当該建物の滅失の登記を申請する場合には、その申請情報と併せて当該建物の所有権を証する情報を提供しなければならない。→ 共用部分である旨の登記がある建物の滅失には、所有者を証する情報が要る。
建物の滅失権利者の承諾は要るか
- 滅失の登記に権利者の承諾は要らない
- 抵当権・仮処分の登記があっても、抹消を先にする必要も承諾書もない
- 附属建物の取壊しによる変更の登記も同じ
- 特定登記がある敷地権付き区分建物の滅失だけは、承諾があれば土地について権利が消滅した旨が登記される(法55条4項。特定登記の項へ)
この項目の肢(7)
- H19-18-イ◯抵当権が設定されている建物の滅失の登記を申請するに際しては、その抵当権者の承諾を証する当該抵当権者が作成した情報を添付することを要しない。→ 滅失の登記に、抵当権者の承諾情報は不要。
- H20-4-オ✕処分禁止の仮処分の登記がある建物を取り壊した場合、当該仮処分がされた建物の所有権の登記名義人は、建物の滅失の登記を申請するときは、処分禁止の仮処分の申立人の承諾を証する情報を提供しなければならない。→ 仮処分の登記があっても、滅失の登記に承諾は不要。
- H23-13-イ✕所有権の登記以外の権利に関する登記がある建物が滅失したときは、当該権利の登記名義人の承諾書を添付して、建物の滅失の登記を申請しなければならない。→ 滅失の登記に、権利の登記名義人の承諾書は不要。
- H29-18-オ✕抵当権の設定の登記がある建物が焼失した場合において、当該建物の滅失の登記の申請をするときは、当該抵当権の登記名義人の承諾を証する情報を添付しなければならない。→ 滅失の登記に、抵当権者の承諾は要らない。
- R3-17-ウ✕抵当権の設定の登記がされている建物が取り壊されて滅失した場合には、当該抵当権の設定の登記を抹消した後でなければ、建物の滅失の登記を申請することができない。→ 抵当権の抹消を先にする必要はない。承諾も要らない。
- R6-17-ア✕抵当権の登記がある建物の滅失の登記を申請する場合には、当該抵当権の登記名義人の承諾を証する情報を提供しなければならない。→ 滅失の登記に、権利者の承諾を求める規定はない。
- H18-6-ウ✕抵当権の設定の登記がある既登記の建物の附属建物を取り壊したことを原因とする建物の表題部の変更の登記を申請するときは、添付情報として、当該抵当権の登記名義人が承諾したことを証する当該登記名義人が作成した情報又は当該登記名義人に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供しなければならない。→ 附属建物の取壊しの変更登記に、抵当権者の承諾は要らない。
区分建物の一部の滅失登記官が職権でするか
- 一棟の一部の区分建物が滅失したときの他の区分建物の変更は職権でされ、併せて申請させる定めはない
この項目の肢(1)
- R6-18-エ✕甲区分建物と乙区分建物からなる一棟の建物のうち甲区分建物のみが滅失した場合には、甲区分建物の滅失の登記の申請は、乙区分建物の表題部の変更の登記の申請と併せてしなければならない。→ 併せて申請させる定めがない。乙の変更は登記官が職権でする。
附属建物の欄登記原因と日付
- 滅失の登記では、附属建物の表示欄の原因及びその日付欄には何も記録しない
この項目の肢(1)
- R3-17-イ◯取壊し年月日が同一である主である建物と附属建物について滅失の登記をする場合には、当該附属建物の表示欄の原因及びその日付欄には、何らの記録を要しない。→ 附属建物の表示欄の原因及びその日付欄には、何も記録しない。
滅失の申請情報申請情報と記録のしかた
- 滅失の登記の申請に附属建物の取壊しの日は要らない
- 附属建物の表示欄の原因及びその日付欄には何も記録しない(原因も日付も主である建物の側だけ)
- 令3条8号ハの種類・構造・床面積は、建物の名称を書いても省けない
この項目の肢(3)
- H23-17-ウ◯主である建物が取り壊され、その後に附属建物が取り壊された場合において、建物の滅失の登記を申請するときは、附属建物が取り壊された日付を申請情報とすることを要しない。→ 滅失登記に附属建物の取壊し日は要らない。
- R4-14-オ✕主である建物とその附属建物が同時に取り壊された場合において、建物の滅失の登記をするときは、その登記原因及び日付は「年月日主である建物取壊し、年月日附属建物取壊し」と記録される。→ 附属建物の欄には何も記録しない。原因も日付も主である建物の側だけ。
- R6-15-ア✕表題部に建物の名称が記録されている区分建物でない建物の滅失の登記を申請する場合において、当該建物の名称を申請情報の内容とするときは、当該建物の構造及び床面積を申請情報の内容とすることを要しない。→ 令3条8号ハの種類・構造・床面積は、名称を書いても省けない。
根拠
不動産登記法第57条建物の滅失の登記の申請
1項建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。