建物の種類と構造
建物の種類は主たる用途で定める(規則113条)。
- 列挙は居宅・店舗・寄宿舎・共同住宅・事務所・旅館・料理店・工場・倉庫・車庫・発電所・変電所で、当たらなければ準則80条の例(校舎、病院、劇場、給油所など)により、それでも難しければ用途により適当に定める
- 構造は主な部分の構成材料・屋根の種類・階数の三つで定める(規則114条)
この項目で問われること
出題は「併記の要否」と「階数の数え方」に集中する。
- 主たる用途が二以上なら「居宅・店舗」のように並べて表示し(準則80条2項)、まとめた呼び名(多目的ビル)は使わない
- 付随的な用途は入れない
- 面積の大小ではなく主な用途と認められるか
- 構成材料・屋根も異なれば「木・鉄骨造」「かわら・亜鉛メッキ鋼板ぶき」と併記する(準則81条2項)
構造の三要素
| 要素 | 定め方 | よく出る点 |
|---|---|---|
| 構成材料 | 主な部分(柱・梁など)の材料。木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など | 外壁の材料や化粧材の張替えでは変わらない。床面積に入らない部分の屋根は対象外 |
| 屋根の種類 | かわらぶき・スレートぶき・亜鉛メッキ鋼板ぶき・草ぶき・陸屋根など | 和瓦から洋瓦のふき替えでは変わらない。階層的に区分した建物(区分建物)には記録することを要しない(準則81条3項) |
| 階数 | 平家建・二階建…。地階は「地下1階付」と冠する | 天井の高さ1.5メートル未満の地階・屋階は階数に入れない(4項)。床面が地盤面から1.5メートル以上なら「高床式平家建」とできる |
種類と構造の定め方どう認定するか
- 種類は用途で決める
- 主たる用途が二以上なら並べて表示(「居宅・店舗」)
- 付随的な用途は入れず、面積の大小で決めるのでもない
- 一棟の他の部屋の使われ方ではなく、その建物の用途で決める
- 列挙にない種類(教習所など)は用途により適当に定めてよい
- 給油所は準則80条の例示にある
- 構成材料は主な部分で決め、外壁の材料や化粧材は主な部分ではない
- 材料が分かれていれば併記し、一方に寄せない
- 屋根は種類が二つなら併記
- 和瓦から洋瓦へのふき替えでは登記された構造は変わらない
- 階層的に区分した建物の構造には屋根の種類を記録することを要しない
- 階数
天井の高さが1.5メートル以上あれば階数に算入し、未満の地階・屋階は入れない- 床面が地盤面より下で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの3分の1以上なら地階(例: 床面から地盤面まで1.1メートル、天井高2.7メートルなら地階で「地下1階付2階建」)
- 地階は階数に入るが「地下1階付」と冠して表す(地上を冠するのではない)
- 床面が地盤面から1.5メートル以上なら「高床式平家建」とすることができる
- ガード下を利用して築造した倉庫は建物として扱い、2階建なら「ガード下2階建」と記録する
- 独立した二棟を往来する通路は一棟の一部ではないので床面積に入れない
この項目の肢(24)
- H20-5-ア✕外壁材をすべて張り替えて屋根材まで変更する大規模改修工事を行ったのですから、建物の表題部の変更の登記が必要になります。→ 外壁の化粧材の張替えと和瓦から洋瓦へのふき替えでは、登記された構造は変わらない。
- H25-12-ア✕屋根の種類が2種類である建物について、その建物の構造を定める場合には、屋根の種類による区分として、屋根全体の面積に対する割合が10%以上の屋根の種類により、定めなければならない。→ 屋根が2種類なら、両方を併記して定める。
- H25-12-ウ✕建物を階層的に区分してその一部を1個の区分建物とした区分建物である建物の登記記録の表題部においては、最上階の区分建物についてのみ、その専有部分の建物の表示欄中の構造欄に屋根の種類が記録される。→ 建物を階層的に区分した場合は、屋根の種類を記録することを要しない。
- H25-12-エ◯建物の主な用途が2以上の場合には、当該2以上の用途により、建物の種類を定める。→ 建物の主たる用途が2以上の場合は、その2以上の用途を並べて種類を定める。
- H25-12-オ✕建物の各利用部分ごとに用途を異にして利用されている形態にある建物の種類は、「多目的ビル」と定める。→ 用途が複数なら併記して定める。「多目的ビル」ではない。
- H28-12-ア◯共同住宅として登記されている甲建物を、階層的に区分してその一部を1個の建物とする場合において、建物の構造を記録するときは、屋根の種類を記録することを要しない。→ 階層的に区分した建物の構造には、屋根の種類を記録しない。
- H28-12-イ◯2階建ての甲建物がガード下に新築された場合において、建物の構造を記録するときは、階数による区分として「ガード下2階建」と記録する。→ ガード下の2階建ては、「ガード下2階建」と記録する。
- H29-16-ア✕主要構造部が鉄骨造であって、壁構造ではない建物で、当該建物の外壁に軽量気泡コンクリートを使用している場合には、建物の構造欄には、「鉄骨・鉄筋コンクリート造」と表示する。→ 構成材料は「主な部分」で決める。外壁の材料は主な部分ではない。
- H29-16-イ◯床面積が100.00平方メートルの平家建の建物で、当該建物の床面積の65.00平方メートルの部分の屋根がスレートでふかれており、残りの床面積の部分の屋根がかわらでふかれているときは、建物の構造欄には、かわら及びスレートをいずれも表示の対象とする。→ 屋根の種類が異なるときは、両方を並べて表示する。
- H29-16-ウ◯2階層からなる建物の2階層部分の天井の上に、収納式の階段を利用して出入りする構造で物置として使用されている屋根裏部屋がある場合において、当該屋根裏部屋の床から天井までの高さが1.5メートルであるときは、建物の構造欄には、「3階建」と表示する。→ 天井の高さが1.5メートル以上あれば、階数に算入する。
- H29-16-エ✕3階層からなる建物の1階層部分の床面が地盤面下にある場合において、1階層部分の床面から地盤面までの高さが1.1メートルで1階層部分の床面から1階層部分の天井までの高さが2.7メートルのときは、建物の構造欄には、「3階建」と表示する。→ 地階は階数に入るが、「地下1階付」と冠して表す。
- H29-16-オ✕店舗として使用されている平家建の建物が鉄骨の柱により地盤面から2.0メートル床上げされている場合において、床上げされた場所が外気と遮断する壁のない店舗用の駐車場として使用されているときは、建物の構造欄には、「平家建」と表示する。→ 床面が地盤面から1.5メートル以上あれば、「高床式平家建」とすることができる。
- R2-12-イ✕4階建の建物で、1階部分及び2階部分が鉄骨鉄筋コンクリート造、3階部分及び4階部分が鉄骨造の場合における構成材料により区分された建物の構造は、「鉄骨鉄筋コンクリート造」である。→ 構成材料が分かれているときは併記する。一方に寄せない。
- R2-12-ウ✕地上部分が2階層、地下部分が4階層からなる建物の階数により区分された建物の構造は、「地上2階付き地下4階建」である。→ 地下は「地下何階付き」と冠する。地上を冠するのではない。
- R2-12-オ◯建物に床面積に算入されない部分があり、当該部分の屋根の種類が、他の部分の屋根の種類と異なる場合、当該床面積に算入されない部分の屋根の種類による区分は、表示の対象としない。→ 構造は「主な部分」で決める。床面積に入らない部分の屋根は対象外。
- R3-14-ア✕その場合には、一棟の建物に属するほぼ全ての区分建物が居住の用に供されていますので、甲区分建物に関する建物の種類も「居宅」と定められます。→ 種類はその建物の用途で決める。一棟の他の部屋の使われ方ではない。
- R3-14-イ◯当該ビルに関する建物の種類は「遊技場・映画館・居宅」と定められます。→ 主たる用途が二以上なら、並べて表示する。
- R3-14-ウ◯店舗として利用される部分も当該建物の主な用途と認められるのであれば「居宅・店舗」と定めることができます。→ 面積の大小ではなく、主な用途と認められるかどうか。
- R3-14-エ✕はい。当該建物の種類は「野球場・店舗・駐車場」と定めなければなりません。→ 並べるのは主な用途が二以上のときだけ。付随的な用途は入れない。
- R3-14-オ✕いいえ。「保育所」や「教習所」は、不動産登記規則及び不動産登記事務取扱手続準則に規定された種類の区分に該当しないので、建物の種類として定めることはできません。→ 列挙にない種類でも、用途により適当に定めてよい。
- R6-15-エ◯2階建ての建物を階層的に区分して1階部分を甲区分建物とし、2階部分を乙区分建物とする区分建物の表題登記を申請する場合には、甲区分建物及び乙区分建物のいずれの専有部分の建物の表示欄中の構造欄にも屋根の種類が記録されない。→ 階層的に区分した建物の構造には、屋根の種類を記録しない。
- R7-12-ウ✕区分建物でない5階建ての1個の建物について、1階は食品の販売店、2階と3階は衣類の販売店、4階はゲームセンター、5階は映画館として利用されている場合には、当該建物の種類は「多目的ビル」と定めることができる。→ 主な用途が二以上なら並べて表示する。まとめた呼び名は使わない。
- R7-12-エ◯学校教育法の適用されない学習塾として利用されている建物の種類は、「教習所」と定めることができる。→ 教習所は列挙にないが、用途により適当に定めてよい。
- R7-12-オ◯各種油類の販売及び給油の目的の用に供するために建築されたガソリンスタンドの建物の種類は、「給油所」と定めることができる。→ 給油所は準則80条1項の例示にある。
根拠
不動産登記規則第113条建物の種類
1項建物の種類は、建物の主な用途により、居宅、店舗、寄宿舎、共同住宅、事務所、旅館、料理店、工場、倉庫、車庫、発電所及び変電所に区分して定め、これらの区分に該当しない建物については、これに準じて定めるものとする。
2項建物の主な用途が二以上の場合には、当該二以上の用途により建物の種類を定めるものとする。
不動産登記規則第114条建物の構造
建物の構造は、建物の主な部分の構成材料、屋根の種類及び階数により、次のように区分して定め、これらの区分に該当しない建物については、これに準じて定めるものとする。
1項1号木造
1項1号土蔵造
1項1号石造
1項1号れんが造
1項1号コンクリートブロック造
1項1号鉄骨造
1項1号鉄筋コンクリート造
1項1号鉄骨鉄筋コンクリート造
1項2号かわらぶき
1項2号スレートぶき
1項2号亜鉛メッキ鋼板ぶき
1項2号草ぶき
1項2号陸屋根
1項3号平家建
1項3号二階建(三階建以上の建物にあっては、これに準ずるものとする。)
不動産登記事務取扱手続準則第80条建物の種類の定め方
1項規則第113条第1項に規定する建物の種類の区分に該当しない建物の種類は、その用途により、次のように区分して定めるものとし、なお、これにより難い場合には、建物の用途により適当に定めるものとする。校舎、講堂、研究所、病院、診療所、集会所、公会堂、停車場、劇場、映画館、遊技場、競技場、野球場、競馬場、公衆浴場、火葬場、守衛所、茶室、温室、蚕室、物置、便所、鶏舎、酪農舎、給油所
2項建物の主たる用途が2以上の場合には、その種類を例えば「居宅・店舗」と表示するものとする。
不動産登記事務取扱手続準則第81条建物の構造の定め方等
建物の構造は、規則第114条に定めるところによるほか、おおむね次のように区分して定めるものとする。
1項1号構成材料による区分
1項2号屋根の種類による区分
1項3号階数による区分
2項建物の主たる部分の構成材料が異なる場合には、例えば「木・鉄骨造」と、屋根の種類が異なる場合には、例えば「かわら・亜鉛メッキ鋼板ぶき」と表示するものとする。
3項建物を階層的に区分してその一部を1個の建物とする場合において、建物の構造を記録するときは、屋根の種類を記録することを要しない。
4項天井の高さ1.5メートル未満の地階及び屋階等(特殊階)は、階数に算入しないものとする。