表題部所有者の変更・更正
表題部所有者の氏名・名称・住所が変わったとき、又は誤っていたときは、表題部所有者が変更・更正の登記を申請できる(法31条。義務はない)。
- 表題部所有者そのものが誤っているときは、真正な所有者が表題部所有者の承諾を得て更正の登記を申請する(法33条)
- 持分だけの更正は共有者の一人からでき、持分を更正することとなる他の共有者の承諾が要る(法33条4項)
- 表題部所有者の変更(所有権が移った)は表題部では登記できず、所有権の保存の登記をしてから移転の登記による
この項目で問われること
変更か更正か、それとも権利の登記かが中心。
- 氏名・住所の変更(婚姻による改氏、商号変更、住所の数次変更をまとめて直ちに現在へ)は31条の変更の登記
- 載っている人が違う・持分が違うのは更正
- 所有権が移った(売買、吸収合併)は表題部では登記できない
- ほかに申請人(申請人の項目)、承諾(承諾の項目)、添付情報
三つの登記の見分け
| 事実 | 登記 | 申請人 |
|---|---|---|
| 氏名・名称・住所が変わった(改氏、商号変更、転居) | 表題部所有者の氏名等の変更の登記(法31条) | 表題部所有者 |
| 氏名・住所が最初から誤っていた | 氏名等の更正の登記(法31条) | 表題部所有者 |
| 載っている人が真正な所有者でない | 表題部所有者の更正の登記(法33条) | 真正な所有者(表題部所有者の承諾が要る) |
| 共有の持分が誤っていた | 持分の更正の登記 | 共有者の一人からできる(他の共有者の承諾) |
| 所有権が移った(売買、相続、吸収合併) | 表題部では登記できない。所有権の保存の登記→移転の登記 | — |
変更か更正か権利の登記かどの登記によるか
- 表題部所有者の変更(所有権が他人に移った)は表題部の登記としてはできない
- 所有権の保存の登記をした後に移転の登記の手続による
- 持分の変更(持分が移った)も同じ
- 氏名・名称の変更: 婚姻による改氏は登記後に生じた事実なので更正ではなく変更の登記
- 商号変更は同じ法人の名称の変更で31条の変更の登記
- 吸収合併は表題部所有者そのものが替わるので名称の変更ではない
- 住所が数回変わっていても、まとめて直ちに現在の住所に変更できる
この項目の肢(11)
- H19-8-イ✕表題部所有者の持分について変更があったときは、その変更があった日から1月以内に、表題部の変更の登記を申請しなければならない。→ 表題部所有者の持分の変更は、表題部の変更の登記としては登記することができない。
- H20-9-オ✕表題部所有者A及びBの持分に変更があった場合、A及びBは、表題部所有者の持分の変更の登記を申請することができる。→ 表題部所有者の持分の変更は、表題部の登記としては登記することができない。
- H21-8-オ✕表題部所有者がA及びBである場合に、Aが死亡してB以外に相続人がいないときは、Bは、直ちに自己を単独所有者とする表題部所有者の変更の登記を申請することができる。→ 表題部所有者の持分の変更は、所有権の保存の登記をした後の移転の登記の手続によらなければ登記できない。
- H27-5-イ◯表題部所有者としてAが登記されている土地をAがBに対して売却したときは、Bは、AからBへの表題部所有者についての変更の登記を申請することができない。→ 表題部所有者の変更は、所有権の保存の登記を経て所有権の移転の登記の手続によるほかない。
- H27-5-オ✕表題部所有者として登記されている者が婚姻により氏を改めたときは、その者は、表題部所有者についての更正の登記を申請することができる。→ 婚姻による改氏は登記後に生じた事実だから、更正ではなく変更の登記による。
- H29-11-ア◯表題部所有者であるAの住所が登記上の住所から数回にわたって変更を生じている場合であっても、直ちに現在の住所に変更する旨の表題部所有者の住所についての変更の登記を申請することができる。→ 数回の変更をまとめて、直ちに現在の住所に変更できる。
- H29-11-ウ✕表題部所有者がA及びBである場合において、Bが死亡してその相続人がAのみであるときは、Aは自己のみを表題部所有者とする表題部所有者の変更の登記を申請することができる。→ 表題部所有者の変更は、保存の登記をしてから移転の登記でする。
- H29-11-オ✕表題部所有者である特例有限会社Aは、その商号中に株式会社という文字を用いる商号の変更をした場合であっても、表題部所有者の名称についての変更の登記を申請することができない。→ 商号を変更したのだから、名称の変更の登記を申請できる。
- R3-8-イ✕表題部所有者としてAが登記されている土地が、AからB、BからCへと順次売却された場合には、Cは、AからCへの表題部所有者についての変更の登記を申請することができる。→ 表題部所有者の変更は登記できない。保存の登記をしてから所有権の移転の登記による。
- R7-8-ア✕表題部所有者である株式会社Aを株式会社Bが吸収合併した場合には、株式会社Bは、表題部所有者の名称についての変更の登記の申請をすることができる。→ 吸収合併は表題部所有者そのものが替わる。名称の変更ではない。
- R7-8-イ◯表題部所有者である特例有限会社Aが株式会社Aに商号変更をした場合には、株式会社Aは、表題部所有者の名称についての変更の登記の申請をすることができる。→ 商号変更は同じ法人の名称の変更。31条の変更の登記による。
表題部所有者の変更・更正誰が申請できるか
- 氏名・住所の変更・更正は表題部所有者だけが申請できる
- 表題部所有者の更正(誰が所有者か)は真実の所有者から申請する
- 誤って載っている者からはできない
- 他の共有者の承諾は要るが、承諾で申請人が変わるわけではない
- 表題部所有者がAで真正な所有者がBなら、更正の申請人はBだけ(法33条1項)
- Aは申請できず、BはAの承諾がなければ申請できない(2項)
この項目の肢(7)
- H21-8-ア✕表題部所有者Aは、表題部所有者を真正な所有者であるBとする更正の登記を単独で申請することができる。→ 表題部所有者についての更正の登記は、真正な所有者の側からしか申請できない。
- H21-8-エ◯表題部所有者株式会社Aが商号の変更によりB株式会社となった場合には、B株式会社は、直ちに表題部所有者の変更の登記を申請することができる。→ 表題部所有者の氏名等についての変更の登記・更正の登記は、表題部所有者以外の者は申請できない。
- H25-7-ウ✕第1欄: 甲建物の表題部所有者としてAが記録されているものの、真正な所有者は、Bである場合 第2欄: 甲建物の表題部所有者の更正の登記→ 表題部所有者の更正は、真正な所有者からしか申請できない。
- H27-5-ア✕表題部所有者として誤ってAが登記されているが、真実の所有者はBである場合には、Aは、表題部所有者の更正の登記を申請することができる。→ 表題部所有者の更正の登記を申請できるのは真実の所有者であって、誤って登記されている者ではない。
- H29-11-イ✕表題部所有者であるA及びBの持分が誤ってAは3分の2、Bは3分の1と登記されているが、真実の持分はAが4分の3、Bが4分の1である場合には、これを是正するためのA及びBの持分についての更正の登記は、Bの承諾を証する情報を提供しても、Aが単独で申請することはできない。→ 他の共有者の承諾を証する情報があれば、共有者の一人から申請できる。
- R1-16-イ✕所有者がAである不動産について、表題部所有者が誤ってBと記録されている場合には、表題部所有者をAに更正する表題部所有者の更正の登記は、A及びBが共同して申請しなければならない。→ 申請できるのは真実の所有者Aだけ。ただしBの承諾が要る。
- R6-15-ウ✕建物の表題部所有者として誤ってAが登記されているが、当該建物の真実の所有者がBである場合には、Aは、当該建物について、表題部所有者の更正の登記を申請することができる。→ 申請できるのは真実の所有者。誤って登記されたAではない。
表題部所有者の氏名・住所の変更いつまでに申請しなければならないか
- 表題部所有者の氏名・名称・住所の変更の登記に、1か月の義務はない(法31条は「できる」)
この項目の肢(3)
- H19-8-ア✕表題部所有者の氏名又は名称に変更があったときは、その変更があった日から1月以内に、表題部の変更の登記を申請しなければならない。→ 表題部所有者の氏名又は名称の変更については、1月以内の申請義務は定められていない。
- H26-7-エ✕Aが表題部所有者である土地について、Aの登記記録上の住所について変更があった場合には、Aは、その変更があった日から1か月以内に、表題部所有者の住所の変更の登記を申請しなければならない。→ 表題部所有者の住所の変更の登記に、1か月以内の申請義務はない。
- R3-8-オ✕建物の表題部所有者として登記されているAの住所に変更があった場合には、Aは、その変更の日から1か月以内に、表題部所有者の住所についての変更の登記を申請しなければならない。→ 表題部所有者の住所の変更に、申請期間の定めはない。
氏名・住所の変更の一括申請まとめて申請できるか
- 同じ人の住所の更正と氏の変更は、同じ不動産の表題部の変更・更正どうしとして一の申請情報でできる(6号)
- 同一管轄内の土地と建物の氏名変更は8号(同一名義人の複数の不動産)で一括できる
この項目の肢(4)
- R3-8-ア◯建物の表題部所有者として登記されているAの住所についての更正の登記と、Aの婚姻による氏についての変更の登記とは、一の申請情報によって申請することができる。→ 同じ不動産についての表題部の変更・更正の登記どうしは、一の申請情報でよい。
- R7-8-ウ✕表題部所有者として登記されているAの住所についての更正の登記と、Aの氏についての変更の登記とは、一の申請情報によって申請をすることができない。→ 同じ不動産の表題部の変更・更正の登記どうしは、一の申請情報でよい。
- H19-16-オ◯同一の登記所の管轄区域内にある甲土地と乙建物の表題部所有者の氏名に変更があった場合における甲土地及び乙建物の表題部所有者の氏名についての変更の登記→ 同一管轄内の土地と建物について、目的・原因・日付が同一の表題部所有者の氏名変更の登記は、一の申請情報でできる。
- H25-4-オ◯Aが婚姻により配偶者の氏を称することとなった場合にする甲建物の表題部所有者Aの氏名についての変更の登記と乙土地の表題部所有者Aの氏名についての変更の登記→ 土地と建物であっても、登記の目的並びに登記原因及びその日付が同一であれば一の申請情報で申請できる。
表題部所有者の変更・更正何を添付するか
- 表題部所有者の更正では、新たに表題部所有者となる者が所有権を有することを証する情報と住所を証する情報
- 持分だけの更正は他の共有者の承諾を証する情報だけ
- 氏名の錯誤を証する情報は公務員が職務上作成したもので、無いときはこれに代わる情報でよい
- 住所を証する情報に3月の制限はない
- 表題部所有者の承諾書は調査士報告方式の対象外
- 錯誤があったことを証する情報は公務員が職務上作成したものが原則だが、無ければこれに代わる情報でよい
この項目の肢(6)
- H21-8-イ◯表題部所有者AからA及びBとする更正の登記を申請するに当たっては、Bが所有権を有することを証する情報を提供することを要する。→ 表題部所有者となる者が所有権を有することを証する情報を提供しなければならない。
- H23-12-エ◯表題部に記録されている所有者の氏名に誤りがあった場合において、表題部所有者の更正の登記を申請するときは、錯誤があったことを証する市区町村長、登記官その他の公務員が作成した情報を提供しなければならないが、当該情報がない場合には、これに代わるべき情報を添付情報とすることができる。→ 公務員が職務上作成した情報がない場合には、これに代わるべき情報を提供することができる。
- H23-12-オ◯表題部にAが所有者として記録されている場合において、共有者A持分2分の1、共有者B持分2分の1とする表題部所有者の更正の登記をBが申請するときは、Bの住所を証する情報を提供しなければならない。→ 表題部所有者についての更正の登記では、新たに表題部所有者となる者の住所を証する情報が要る。
- H29-11-エ◯真実の所有者がA及びBであるにもかかわらず、Bのみが表題部所有者として登記されている場合において、A及びBが、Aの持分を2分の1、Bの持分を2分の1とする表題部所有者についての更正の登記を申請するときは、Aの住所を証する情報を提供しなければならない。→ 更正で新たに表題部所有者となる者の住所を証する情報が要る。
- R3-8-ウ◯土地の真の所有者がA及びBであるにもかかわらず、誤ってAのみが表題部所有者として登記された場合において、Aの持分を3分の1、Bの持分を3分の2とする表題部所有者についての更正の登記をBが申請するときは、Bの住所を証する情報をも提供しなければならない。→ 表題部所有者についての更正の登記には、住所を証する情報が要る。
- R6-5-エ✕表題部所有者の更正の登記を申請する場合に表題部所有者の承諾を証する情報として提供する承諾書→ 表題部所有者の承諾書は対象外。印鑑証明書と一体で本人の意思を示す。
持分の更正と表題部所有者の更正権利者の承諾は要るか
- 持分の更正の登記は共有者の一人から申請できるが、持分を更正することとなる他の共有者の承諾を証する情報が要る
- 持分が変わらない者の承諾は要らない
- 所有権を有することを証する情報は要らない
- 表題部所有者そのものを更正するときは、承諾を証する情報に加えて、新たに載る者の所有権と住所を証する情報が要る
- 表題部所有者に対抗することができる裁判があったことを証する情報は、承諾を証する情報に代わる
この項目の肢(8)
- H21-8-ウ✕表題部所有者A、B及びCの持分が、Aは10分の5、Bは10分の3、Cは10分の2と登記されている不動産について、Bの持分を10分の2、Cの持分を10分の3とする更正の登記をCが申請するに当たっては、他の共有者A及びBの承諾を証する情報を提供することを要する。→ 承諾が要るのは持分を更正することとなる他の共有者であって、持分が変わらない者は含まれない。
- H23-12-イ✕表題部に共有者A持分2分の1、共有者B持分2分の1と記録されている場合において、共有者A持分3分の2、共有者B持分3分の1とする表題部所有者の更正の登記をAが申請するときは、Bの承諾書とともに、Aの共有持分権を証する情報を提供しなければならない。→ 持分の更正の登記に必要なのは他の共有者の承諾を証する情報だけで、所有権を有することを証する情報は要らない。
- H23-12-ウ◯表題部にAが所有者として記録されている場合において、当該建物の実体上の所有者がBであるときは、Bは、Aに対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供して、表題部所有者の更正の登記を申請することができる。→ 表題部所有者に対抗することができる裁判があったことを証する情報は、承諾を証する情報に代わる。
- H25-7-ア◯第1欄: 甲土地の表題部所有者としてA及びBが記録され、Aの持分が3分の2と、Bの持分が3分の1と記録されているものの、真正な持分は、Aが4分の3で、Bが4分の1である場合 第2欄: 甲土地についてする表題部所有者A及びBの持分の更正の登記→ 持分の更正は、共有者の一人から申請できる。他の共有者の承諾は要る。
- H27-5-ウ✕表題部所有者のA及びBの持分が誤ってAは5分の3、Bは5分の2と登記されているが、真実の持分はAが5分の2、Bが5分の3である場合において、Aがこれを是正するための表題部所有者についての持分の更正の登記を申請するときは、Bが所有権を有することを証する情報を提供しなければならない。→ 持分の更正の登記で求められるのは他の共有者の承諾を証する情報で、所有権を有することを証する情報ではない。
- H27-5-エ◯表題部所有者として誤ってA及びBが登記されているが、真実の所有者はA及びCである場合において、これを是正するための表題部所有者の更正の登記をCが申請するときは、Bの承諾を証する情報又はBに対抗することができる裁判があったことを証する情報のほか、Cが所有権を有することを証する情報及びCの住所を証する情報を併せて提供しなければならない。→ 表題部所有者の更正では、承諾を証する情報に加えて新たに載る者の所有権と住所を証する情報が要る。
- R3-8-エ◯表題部所有者としてA及びBが登記されている建物について、A及びBの持分が誤って登記されている場合には、Aは、Bの承諾を証する情報を提供して、単独で、A及びBの持分についての更正の登記を申請することができる。→ 持分の更正は共有者が単独でできる。ただし他の共有者の承諾が要る。
- R7-8-エ◯表題部所有者であるA及びBの持分が誤って登記されている場合において、当該持分についての更正の登記の申請をするときは、Aは、Bの承諾を証する情報を提供して、単独で当該申請をすることができる。→ 持分の更正は共有者が単独でできる。他の共有者の承諾が要る。
登記原因登記原因と日付
- 氏名の変更の登記原因は「氏名変更」、住所は「住所移転」
この項目の肢(1)
- R6-15-イ◯表題部所有者の氏名についての変更の登記の登記原因は、「氏名変更」である。→ 氏名の変更の登記原因は「氏名変更」。
申請情報申請情報と記録のしかた
- 申請情報の内容とするのは更正後(変更後)の氏名・住所
- 更正前は要らない
- 登記記録に載せるのは今の住所で、途中の経過は記録しない
ひっかけ・例外(規定がないこと)
- 表題部所有者の氏名・名称又は住所についての変更の登記に、申請の義務と期間を定める規定はない。
根拠
不動産登記法第31条表題部所有者の氏名等の変更の登記又は更正の登記
1項表題部所有者の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記は、表題部所有者以外の者は、申請することができない。
不動産登記法第33条表題部所有者の更正の登記等
1項不動産の所有者と当該不動産の表題部所有者とが異なる場合においてする当該表題部所有者についての更正の登記は、当該不動産の所有者以外の者は、申請することができない。
2項前項の場合において、当該不動産の所有者は、当該表題部所有者の承諾があるときでなければ、申請することができない。
3項不動産の表題部所有者である共有者の持分についての更正の登記は、当該共有者以外の者は、申請することができない。
4項前項の更正の登記をする共有者は、当該更正の登記によってその持分を更正することとなる他の共有者の承諾があるときでなければ、申請することができない。