筆界と所有権界

筆界は、表題登記がある一筆の土地とこれに隣接する土地との間で、その土地が登記された時に境を構成するものとされた二以上の点とこれらを結ぶ直線(法123条1号)。

この項目で問われること

筆界と所有権界のずれ方(合意・時効・官民境界確定協議で動くのは所有権界だけ。判決で確定するのは筆界)、筆界がある場所(表題登記がある土地との間だけ。未登記の土地同士、一点で接するだけの土地には筆界がない)、筆界の沿革(明治の地租改正、改租図、土地台帳附属地図は税務署が保管)。申請人の話は筆界特定の項目に置いた。

筆界と所有権界

出来事筆界所有権界
隣人と境界の合意をした動かない動く
隣地の一部を時効取得した動かない動く
売主の説明を信じて買った動かない売主が持たない部分は移らない
官民境界確定協議動かない(食い違いが残る)定まる
筆界確定訴訟の判決確定する(当事者が合意で決められる)
地積の更正の登記生まれない(数値を直すだけ)—
分筆の登記新しい筆界ができ、合筆されない限り残る—

筆界とは何かどう認定するか

この項目の肢(12) 一覧
  1. H20-7-ア◯公法上の境界は、法的手続を経て公示されている土地の区画線で、不動産登記法では筆界という語で定義されています。これは、私人が自由に動かしたり、新たに設定したりすることができないものです。これに対し、私法上の境界は、所有権界や占有界等、私人間で自由に取決めのできるものです。→ 筆界は登記された時に境を構成するものとされた線であり、私人が動かすことはできない。
  2. H20-7-ウ✕分筆の登記がされた場合、地積に関する更正の登記がされた場合、土地区画整理法等の規定に基づく換地処分がされ、その登記がされた場合などがあります。→ 地積の更正で筆界は生まれない。数値を直すだけ。
  3. H20-7-オ✕未登記の土地同士の境界であっても、先に述べました地租改正事業の際に作成された改租図やその後の更正図に示されていたものは筆界と認められるので、筆界特定の申請もすることができます。→ 筆界は表題登記がある一筆の土地との間にしか存在しないので、未登記の土地同士の境界は筆界ではない。
  4. H23-9-ア✕甲土地と乙土地との筆界がa-bである場合において、甲土地の所有者Aと乙土地の所有者Bが所有権界及び筆界をともにc-dとするとの合意をしたときは、所有権界及び筆界は、c-dとなる。→ 所有権界は合意で動くが、筆界は当事者の合意では動かない。
  5. H23-9-イ✕甲土地と乙土地との所有権界及び筆界がいずれもa-bである場合において、甲土地の所有者Aと乙土地の所有者Bがともに所有権界及び筆界をc-dと認識したまま、その後Aがabdcaで囲まれた土地を時効取得したときは、甲土地と乙土地との所有権界及び筆界は、c-dとなる。→ 時効取得で動くのは所有権界。筆界はa-bのまま。
  6. H23-9-ウ✕甲土地と乙土地との所有権界及び筆界がいずれもa-bである場合において、所有権界及び筆界がc-dであると信じてabdcaで囲まれた土地を占有している甲土地の所有者Aから、所有権界及び筆界はc-dであるとの説明を受け、第三者がそれを信じて購入したときは、甲土地と乙土地との所有権界及び筆界は、c-dとなる。→ 売主の説明を信じて買っても、筆界は動かない。所有権界も、Aが持たない部分は移らない。
  7. H23-9-エ◯乙土地の所有者が国である場合において、甲土地と乙土地との筆界がa-bであるときに、甲土地の所有者Aと国との間で、境界をc-dと定める国有財産法上の官民境界確定協議の契約が調った場合には、所有権界と筆界は異なることになる。→ 官民境界確定協議で定まるのは所有権界。筆界はa-bのままなので、両者は食い違う。
  8. H23-9-オ◯筆界確定訴訟において、甲土地と乙土地との筆界をa-bとする確定判決があった場合であっても、甲土地の所有者Aと乙土地の所有者Bは、甲土地と乙土地との所有権界をc-dとする合意をすることができる。→ 判決で確定するのは筆界。所有権界は当事者が合意で決められる。
  9. H27-19-ア✕AとBは、甲土地と乙土地の所有権の範囲を和解契約によって確定することができるのと同様に、筆界についても、和解契約によって確定することができます。→ 筆界は登記された時に定まった線であり、当事者の合意で確定することはできない。
  10. R1-19-エ◯2番2の土地について、平成19年3月22日の分筆の登記による登記記録の作成時から令和元年10月18日までの間に分筆の登記及び合筆の登記がされていないときは、平成19年3月22日の分筆の登記によって創設された甲土地と2番2の土地の筆界は、令和元年10月18日の時点において存在している。→ 分筆で創設された筆界は、合筆されない限り残る。
  11. R2-18-オ✕筆界特定は、新たな筆界を形成する作用を有する。→ 筆界特定は、もとからある筆界の位置を明らかにするだけ。作るのではない。
  12. H20-7-エ◯裁判官が、過去に形成された筆界を探し出したもの、又は探求してもなお不明の場合に裁判官により再形成されるものです。この判決によって示される筆界は公的な存在ですので、この判決は登記官等の第三者にも効力が及びます。→ 判決の示す筆界は公的なもので、登記官にも効力が及ぶ。

筆界の沿革手続と制度

この項目の肢(4) 一覧
  1. H20-7-イ◯筆界は、明治時代に行われた地租改正事業により創設されたといわれています。徴税目的のために、所有者とその土地の位置及び形状等を調査し、台帳に登録しました。その際、一筆の土地として把握され、図面に公示された区画を成す現地の線が原始的な筆界と考えられています。→ 筆界のはじまりは明治の地租改正と説明される。
  2. H21-16-1◯文章中の①「地租改正」は正しい。→ 明治初期の地租改正事業で地券が発行された。
  3. H21-16-2◯文章中の②「改租図」は正しい。→ 地租改正のときに作られた図面が改租図。
  4. H21-16-3✕文章中の③「市町村役場」は正しい。→ 土地台帳附属地図の正本を保管したのは税務署。

根拠

不動産登記法第123条定義

この章において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

1号筆界 表題登記がある一筆の土地(以下単に「一筆の土地」という。)とこれに隣接する他の土地(表題登記がない土地を含む。以下同じ。)との間において、当該一筆の土地が登記された時にその境を構成するものとされた二以上の点及びこれらを結ぶ直線をいう。

2号筆界特定 一筆の土地及びこれに隣接する他の土地について、この章の定めるところにより、筆界の現地における位置を特定すること(その位置を特定することができないときは、その位置の範囲を特定すること)をいう。

3号対象土地 筆界特定の対象となる筆界で相互に隣接する一筆の土地及び他の土地をいう。

4号関係土地 対象土地以外の土地(表題登記がない土地を含む。)であって、筆界特定の対象となる筆界上の点を含む他の筆界で対象土地の一方又は双方と接するものをいう。

5号所有権登記名義人等 所有権の登記がある一筆の土地にあっては所有権の登記名義人、所有権の登記がない一筆の土地にあっては表題部所有者、表題登記がない土地にあっては所有者をいい、所有権の登記名義人又は表題部所有者の相続人その他の一般承継人を含む。