建物の個数と附属建物

登記記録上の建物は、一棟が一個とは限らない。

この項目で問われること

一個の建物になるか(効用上一体か、所有者の意思、隣接や管轄や建築の先後は要らない、主従の判断に抵当権は関係ない)、附属建物の記録のしかた(符号、一棟の表示の省略、所在の記録、新築の日が同じなら原因日付を記録しない)、附属建物を新築・取壊ししたときにどの登記によるか(表題部の変更の登記であって、表題登記+合併や滅失の登記ではない)。

一個の建物の判断

要件内容
効用上一体同じ階段でしか出入りできない二棟は一体。別々の借主が別々の居宅として使う三棟は一体でない。効用上一体でなければ一個にできない
所有者の意思一体でも所有者の意思に反して一個にはしない。所有者が同一なら意思に反しない限り一棟全部を一個にする
要らない要件隣接(隣接が要るのは区分合併)、同一登記所の管轄、建築の先後(後から建てた棟を主にできる)、附属建物となる区分建物に敷地権がないこと

一個の建物になるかどう認定するか

この項目の肢(10)
  1. H17-8-ウ甲建物の所在地とこれに附属する乙建物の所在地とが異なる登記所の管轄区域に属する場合であっても、乙建物を甲建物の附属建物とする建物の表題登記の申請をすることができる。→ 効用上一体として利用される状態にある数棟の建物は、所有者の意思に反しない限り1個の建物として取り扱われ、同一の登記所の管轄内にあることは要件とされていない。
  2. H17-8-オ甲建物について敷地権がなく、これに附属する乙建物が敷地権のある区分建物である場合には、乙建物を甲建物の附属建物とする建物の表題登記の申請をすることができない。→ 効用上一体として利用される状態にあれば1個の建物として取り扱われ、附属建物となる区分建物に敷地権があることを妨げとする規定はない。
  3. H18-6-ア既登記の甲建物が、所有権の登記名義人が同一である既登記の乙建物に附属して一体として利用されているときは、甲建物と乙建物が国道を隔てている場合であっても、外に合併の登記の制限事由がない限り、甲建物を乙建物の附属建物とする建物の合併の登記をすることができる。→ 効用上一体として利用される状態にある数棟の建物は、所有者の意思に反しない限り1個の建物として取り扱う。
  4. H23-19-エ一棟の建物に属する建物の全部が同一の原始所得者の所有に属する場合には、その原始所得者は、その一棟の建物に属する建物の全部を1個の非区分建物としてその表題登記を申請することができる。→ 所有者が同一であるときは、その意思に反しない限り一棟の建物の全部を1個の建物として取り扱う。
  5. H24-15-ア近接して建築された数棟の建物は、効用上一体として利用される状態になくとも、1個の建物として登記することができる。→ 数棟の建物を1個の建物として取り扱うには、効用上一体として利用される状態にあることが要る。
  6. H24-15-イ区分建物の一棟の建物の内部にある階段室やエレベーター室等、建物の構造上区分所有者の全員の共用に供されるべき建物の部分は、各別に1個の建物として登記することはできない。→ 構造上区分所有者の全員又は一部の共用に供されるべき部分は、区分所有権の目的とならない。
  7. H24-15-ウ建物の個数は、建物の物理的現況に変更がない場合であっても、表題部所有者又は所有権の登記名義人の登記の申請により、増加し、又は減少することがある。→ 建物の個数は所有者の意思によって決まる面があり、物理的現況が変わらなくても申請により増減する。
  8. R1-9-ア下の〔立面図略図〕のように、近接して建てられた二棟の建物で、それぞれの2階部分に出入りするためには同一の屋外の階段を用いるほかないときは、この二棟の建物は一個の建物として取り扱われる。→ 同じ階段でしか出入りできない二棟は、効用上一体で一個の建物。
  9. R1-9-イ下の〔平面図略図〕のように、一筆の土地の上に同一の者の所有に属する三棟の建物がある場合には、それぞれの建物が異なる借主の居宅として利用されているときでも、三棟の建物を一個の建物として取り扱うことができる。→ 別々の借主が別々の居宅として使う三棟は、効用上一体でない。
  10. R1-9-ウAが所有権の登記名義人である甲建物に近接して、甲建物と効用上一体として利用する乙建物をAが新築した場合において、甲建物に抵当権の設定の登記がされているときは、甲建物を主である建物、乙建物を附属建物とする一個の建物として取り扱うことはできない。→ 主従の判断は効用上の一体性と所有者の意思による。抵当権は関係ない。

附属建物にできるかできるか、できないか

この項目の肢(2)
  1. H18-6-エ既登記の甲建物に附属して一体として利用されている未登記の乙建物が甲建物の建築日より前に建築されたものであるときは、附属建物を新築したことを原因とする甲建物の表題部の変更の登記をすることによって乙建物を甲建物の附属建物とすることはできない。→ 建築の先後は妨げにならない。附属建物にできる。
  2. H24-15-オ1棟の建物に構造上区分された数個の部分があり、独立して住居としての用途に供することができるものと倉庫としての用途に供することができるものとがある場合において、これらの2個の部分が隣接していないときは、その所有者が同一であっても、これらを1個の建物として登記することはできない。→ 効用上一体なら隣接不要で1個にできる。隣接が要るのは区分合併の場面。

附属建物の新築・取壊しはどの登記かどの登記によるか

この項目の肢(3)
  1. H17-8-エ甲建物について表題登記をした後、これに附属する乙建物を新築した場合において、乙建物を甲建物の附属建物として登記するためには、乙建物について表題登記の申請をした後、建物の合併の登記の申請をしなければならない。→ 既存建物に附属建物を新築した場合は、表題部の登記事項に関する変更の登記によるのであって、表題登記と建物の合併の登記を経る必要はない。
  2. H20-5-エ附属建物の取壊しの場合は、附属建物の滅失の登記を行うのではなく、建物の表題部の変更の登記を行います。→ 附属建物だけを取り壊した場合は、滅失の登記ではなく表題部の変更の登記をする。
  3. H21-18-エ既登記の建物に接続して構造上は独立しているが利用上は独立していない建物を新築した場合の登記は、建物の合体による登記等の申請によらなければすることができない。→ 効用上一体なら1個の建物。増築の変更登記による。

附属建物の原因日付登記原因と日付

この項目の肢(2)
  1. H26-14-イ附属建物がある建物の表題登記を申請する場合において、附属建物の新築の日が主である建物の新築の日と同一であるときは、附属建物の新築の日付を申請情報の内容とすることを要しない。→ 附属建物の新築の日が主である建物と同一なら、附属建物の原因及びその日付の記録を要しない。
  2. H30-14-ア附属建物がある建物の表題登記をする場合において、附属建物の新築の日が主である建物の新築の日と同一であるときは、附属建物の表示欄の原因及びその日付欄の記録は要しない。→ 新築の日が主である建物と同じなら、附属建物の原因及びその日付は記録しない。

附属建物の記録のしかた申請情報と記録のしかた

この項目の肢(10)
  1. H26-11-エ甲附属建物がある建物について、甲附属建物を取り壊して乙附属建物を新築した場合に、乙附属建物について甲附属建物と同じ符号を付すことはできない。→ 取り壊した附属建物と同じ符号は、新築建物に使えない。
  2. H26-14-エ附属建物がある区分建物の表題登記を申請する場合において、附属建物が主である建物と同一の一棟の建物に属する区分建物であるときは、当該附属建物の所在地番並びに構造及び床面積を申請情報の内容とすることを要しない。→ 省略できるのは一棟の建物についての事項であって、附属建物自身の構造及び床面積は申請情報の内容となる。
  3. H30-14-ウ附属建物の種類に関する変更の登記をする場合において、表題部に附属建物に関する記録をするときは、当該変更後の附属建物の種類、構造及び床面積が記録され、当該変更前の附属建物の符号を除くその登記事項の全部が抹消される。→ 変更後の種類・構造・床面積を全部書き、従前は符号を除いて全部抹消する。
  4. H30-14-オ附属建物が主である建物と同一の一棟の建物に属する区分建物である場合において、当該附属建物に関する登記事項を記録するには、その一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番並びに構造及び床面積を記録することを要する。→ 同一の一棟に属する附属建物なら、一棟の建物の表示は記録しない。
  5. R3-12-エ表題登記のある甲建物の附属建物が取り壊され、その後に建築された建物が甲建物の附属建物となった場合において、これによる甲建物の表題部の変更の登記を申請するときは、附属建物の符号として、取り壊された附属建物に付されていた符号を再使用することはできない。→ 既に使った附属建物の符号は再使用しない。
  6. R3-15-ウ甲建物の附属建物の床面積についての表題部の更正の登記をするときは、附属建物の表示に関する表題部に附属建物の種類、構造及び更正後の床面積の全部を記録し、符号を除いた従前の登記事項の全部を抹消する。→ 変更後・更正後の種類・構造・床面積の全部を記録し、従前は符号を除いて全部抹消する。
  7. R4-11-ア区分建物である甲建物に区分建物でない附属建物があるときは、甲建物の表題部の附属建物の表示欄の構造欄に附属建物の所在が記録される。→ 同一の一棟に属さない附属建物なら、その所在も記録する。
  8. R5-15-エ甲建物に1から3までの符号が付された附属建物が3棟ある場合において、符号2の附属建物を分割したときは、符号3の附属建物の符号は、符号2に変更される。→ 既に使った符号は再使用しない。符号3はそのまま。
  9. R6-13-オ附属建物がある区分建物の表題登記を申請する場合において、当該附属建物が区分建物であって、主である建物と同一の一棟の建物に属するときは、当該附属建物の所在地番を申請情報の内容とすることを要しない。→ 同一の一棟に属する附属建物なら、その所在は記録を要しない。
  10. R6-14-エ附属建物がある建物の表題登記を申請する場合において、附属建物の新築の日が主である建物の新築の日と同一であるときは、附属建物の新築の日を申請情報の内容とすることを要しない。→ 附属建物の新築の日が主である建物と同じなら、記録を要しない。

根拠

不動産登記事務取扱手続準則第78条建物の個数の基準

1項効用上一体として利用される状態にある数棟の建物は、所有者の意思に反しない限り、1個の建物として取り扱うものとする。

2項一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他の建物としての用途に供することができるものがある場合には、その各部分は、各別にこれを1個の建物として取り扱うものとする。ただし、所有者が同一であるときは、その所有者の意思に反しない限り、一棟の建物の全部又は隣接する数個の部分を1個の建物として取り扱うものとする。

3項数個の専有部分に通ずる廊下(例えば、アパートの各室に通ずる廊下)又は階段室、エレベーター室、屋上等建物の構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、各別に1個の建物として取り扱うことができない。

不動産登記規則第112条家屋番号

2項附属建物には、符号を付すものとする。

不動産登記法第44条建物の表示に関する登記の登記事項

建物の表示に関する登記の登記事項は、第二十七条各号に掲げるもののほか、次のとおりとする。

1項1号建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である建物にあっては、当該建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)

1項2号家屋番号

1項3号建物の種類、構造及び床面積

1項4号建物の名称があるときは、その名称

1項5号附属建物があるときは、その所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番(区分建物である附属建物にあっては、当該附属建物が属する一棟の建物の所在する市、区、郡、町、村、字及び土地の地番)並びに種類、構造及び床面積

1項6号建物が共用部分又は団地共用部分であるときは、その旨

1項7号建物又は附属建物が区分建物であるときは、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の構造及び床面積

1項8号建物又は附属建物が区分建物である場合であって、当該建物又は附属建物が属する一棟の建物の名称があるときは、その名称

1項9号建物又は附属建物が区分建物である場合において、当該区分建物について区分所有法第二条第六項に規定する敷地利用権(登記されたものに限る。)であって、区分所有法第二十二条第一項本文(同条第三項において準用する場合を含む。)の規定により区分所有者の有する専有部分と分離して処分することができないもの(以下「敷地権」という。)があるときは、その敷地権