代理人による申請
登記の申請は代理人によってもでき、委任状(代理権限を証する情報)を添付する。
- 委任による代理権は本人の死亡、本人である法人の合併による消滅、受託者の任務終了、法定代理人の死亡・代理権の消滅や変更では消えない(法17条。民法111条の例外)
- 代理人が死亡すれば代理権は消える
- 共同代理の定めがなければ各代理人は単独で申請できる
- 撤回のための取下げには取下げの委任が要る
この項目で問われること
代理権が消えるか(法17条)、復代理、複数代理人、委任状の作法(記名押印・印鑑証明・原本還付)。詳しくは誰が申請できるか・何を添付するかの項目。
代理人誰が申請できるか
- 委任による代理権は、本人の死亡、本人である法人の合併による消滅、本人である受託者の任務の終了、法定代理人の死亡・代理権の消滅や変更では消えない(法17条。民法111条の例外)
- 相続人からの委任状も要らない
- 代理人が死亡すれば代理権は消え、相続されない
- 復代理人を選んでも代理人の権限は残る
- 申請の委任は、還付金の受領や審査請求まで含まない
- 共同代理の定めがなければ各代理人が単独で代理できる
この項目の肢(19)
- H18-10-ア✕本人から委任を受けた後、登記の申請前に本人が後見開始の審判を受けたときは、申請代理権は消滅しないが、登記の申請をするには、後見人の承諾を得なければならない。→ 本人が後見開始の審判を受けたことは、111条1項の代理権の消滅事由に挙げられていない。
- H18-10-イ✕委任による代理人は、本人の同意を得て復代理人を選任した場合でも、復代理人の選任又は監督についての過失の有無にかかわらず、復代理人の行為について責任を負う。→ 過失の有無を問わない無条件の責任ではない。
- H18-10-ウ◯本人から委任を受けた後、登記の申請前に本人が死亡した場合でも、申請代理権は消滅しない。→ 登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、本人の死亡によっては消滅しない。
- H18-10-エ✕本人の法定代理人は、本人の同意なくして復代理人を選任することができるが、やむを得ない事由があるときを除き、その責任は選任及び監督の範囲に限られる。→ 法定代理人は自己の責任で復代理人を選任でき、責任が選任及び監督に限られるのはやむを得ない事由があるときである。
- H18-10-オ◯同一の申請について複数の代理人が選任されている場合、共同代理の定めがない限り、各代理人は単独で申請を代理することができる。→ 共同代理の定めがなければ、各代理人は単独で代理できる。
- H22-9-ア✕土地の分筆の登記の申請の委任をした者がその申請の前に死亡した場合には、代理人は、当該土地の分筆の登記を申請することができない。→ 登記の申請の委任による代理権は、本人の死亡によっては消滅しない。
- H22-9-イ◯法人から委任を受けて登記の申請を行う場合には、委任を受けた後に法人の代表者が替わったときであっても、代理人は、当該登記の申請をすることができる。→ 法人の代表者が替わっても、法人から委任を受けた代理人の権限は消滅しない。
- H22-9-オ✕土地の合筆の登記の申請の委任を受けた代理人が死亡した場合には、その一般承継人は、当該代理権を行使して当該登記の申請をすることができる。→ 代理人の死亡によって代理権は消滅し、その一般承継人に引き継がれない。
- H27-6-ウ✕委任による代理人が土地の合筆の登記の申請をその土地の所有権の登記名義人から受任した後に当該登記名義人が死亡した場合において、当該代理人が当該合筆の登記の申請をするときは、被相続人から代理人への委任に関する代理人の権限を証する情報、相続があったことを証する情報及び相続人から代理人への委任に関する代理人の権限を証する情報を添付情報として提供しなければならない。→ 登記の申請の委任による代理権は本人の死亡によって消滅しないから、相続人からの委任状は要らない。
- H28-7-ア✕委任状において、A、B及びCの3人が登記の申請について代理人として選任されていることが明らかである場合には、A、B及びCは、特に共同代理の定めがされていないときであっても、共同して登記の申請の手続を代理しなければならない。→ 代理人が複数でも、共同代理の定めがなければ各自が単独で申請できる。
- H28-7-イ✕Aが所有権の登記名義人である土地の合筆の登記の申請について委任を受けた代理人Bが死亡したときは、Bを単独で相続したCは、AからBへの委任状及び相続を証する情報を添付して当該登記を申請することができる。→ 代理人が死亡すると代理権は消滅する。相続されない。
- H28-7-エ✕未成年者が所有する土地の地積の更正の登記の申請の委任を親権者から受けた代理人は、その後に当該親権者について破産手続開始の決定がされたときは、当該登記を申請することができない。→ 法定代理人の代理権が消滅しても、委任による代理人の権限は消えない。
- H28-7-オ◯所有権の登記名義人から土地の地目の変更の登記の申請の委任を受けた代理人は、当該登記を申請するまでの間に所有権の登記名義人が死亡したときであっても、当該登記を申請することができる。→ 本人が死亡しても、委任による代理人の権限は消えない。
- R2-4-イ◯Bは、土地の合筆の登記の申請の際に納付した登録免許税に過誤納があった場合、その還付金を受領することができない。→ 還付金の受領は登記の申請ではない。申請の委任には含まれない。
- R2-4-オ✕Bは、土地の合筆の登記を申請した後、当該申請が却下された場合、却下処分に対し、Aの代理人として審査請求をすることができる。→ 審査請求は登記の申請とは別の手続。申請の委任には含まれない。
- R7-7-イ◯株式会社Aの代表取締役が令和7年4月1日に替わったときであっても、Bは、同月2日に株式会社Aを代理して本件登記申請をすることができる。→ 法17条により、本人側の事情では代理権が消滅しない。
- R7-7-ウ◯Bが株式会社Aの許諾を得て復代理人を選任したときであっても、Bは、株式会社Aを代理して本件登記申請をすることができる。→ 復代理人を選任しても、代理人の代理権は残る。
- R7-7-エ✕Bが令和7年4月1日に死亡した場合には、Bの相続人である土地家屋調査士Cは、Bの地位を承継したものとして、株式会社Aを代理して本件登記申請をすることができる。→ 代理人の死亡で代理権は消滅する。相続人が引き継ぐものではない。
- R7-7-オ✕本件登記申請の際に納付した登録免許税に過誤納があった場合には、Bは、本件委任状に基づいて、株式会社Aを代理してその還付金を受領することができる。→ 還付金の受領は登記の申請ではない。申請の委任には含まれない。
委任状何を添付するか
- 記名だけの委任状には押印が要る
- 申請人が署名した委任状に公証人の認証を受ければ記名押印も印鑑証明書も要らない(規則49条)
- 表示に関する登記の委任状に印鑑証明書は原則不要(滅失の登記など)
- 調査士会の職印証明書は、印鑑証明書を要しない場合として規則49条2項に挙がっていない
- 地図訂正の申出の委任状には、記名押印の規定だけが準用され、印鑑証明書は要らない
この項目の肢(5)
- H19-15-ア◯登記: 建物の表題登記 対象書面: 申請人が記名した委任状 押印者: 申請人→ 記名だけの委任状には押印が要る。
- H19-18-ウ✕建物の滅失の登記を代理人が書面により申請する場合には、申請人は、委任状に押印した印鑑に関する証明書を添付しなければならず、かつ、その証明書は作成後3月以内のものでなければならない。→ 滅失登記の委任状に、印鑑証明書は要らない。
- H24-9-エ✕委任による代理人によって書面による地積測量図の訂正の申出をする場合には、申出情報を記載した書面に添付した当該代理人の権限を証する情報を記載した書面には、その書面に記名押印した申出人の印鑑証明書を添付しなければならない。→ 申出に準用されるのは令18条1項の記名押印だけで、同条2項の印鑑証明書は準用されていない。
- H26-8-イ✕Aが所有権の登記名義人である土地につき合筆の登記を当該登記の申請代理人である土地家屋調査士Bによって申請する場合において、Aの本人確認情報と併せて、土地家屋調査士Bが所属する土地家屋調査士会が発行した職印に関する証明書を提供するときは、Aの印鑑に関する証明書を提供することを要しない。→ 調査士会が発行する職印証明書は、令18条2項の印鑑証明書を要しない場合として規則49条2項に挙げられていない。
- H26-8-ウ◯Aが所有権の登記名義人である土地につき合筆の登記を当該登記の申請代理人である土地家屋調査士Bによって申請する場合において、Aが署名して公証人の認証を受けた委任状を提供するときは、当該委任状につきAの印鑑に関する証明書を提供することを要しない。→ 署名した委任状に公証人の認証を受ければ記名押印が不要となり、印鑑証明書の添付も要らなくなる。
根拠
不動産登記法第17条代理権の不消滅
登記の申請をする者の委任による代理人の権限は、次に掲げる事由によっては、消滅しない。
1号本人の死亡
2号本人である法人の合併による消滅
3号本人である受託者の信託に関する任務の終了
4号法定代理人の死亡又はその代理権の消滅若しくは変更
民法第111条代理権の消滅事由
代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
1項1号本人の死亡
1項2号代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
2項委任による代理権は、前項各号に掲げる事由のほか、委任の終了によって消滅する。
民法第104条任意代理人による復代理人の選任
1項委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない。