地積の変更・更正の登記
地積が後から変わった(一部が海面下に没した、埋立てで増えた)ときは地積の変更の登記で、表題部所有者又は所有権の登記名義人が1か月以内に申請する義務がある(法37条)。
- 登記記録の地積が最初から誤っていたときは地積の更正の登記で、義務も期間もない(法38条)
- 添付情報はどちらも地積測量図だけで、地積が増えても所有権を証する情報は要らず、抵当権者や隣地所有者の承諾も要らない
この項目で問われること
変更か更正か(後から生じた事実は変更、最初からの誤りは更正。端数の単位が変わるだけなら地積は変わらない)。
- 更正の登記に義務がないこと
- 承諾が要らないこと
- 誤差の限度内でも更正できること
- 更正で直せるのは地積だけで分筆線は直せないこと
地積の更正でできることできるか、できないか
- 登記記録の地積と実測の差が誤差の限度(公差)内でも、地積の更正の登記は申請できる
- 準則70条・72条は申請を要しないとするだけで、してはならないとは書かれていない
- 地積の更正で直せるのは地積の数値だけ
- 分筆線の位置を誤って登記されても、誤っているのは筆界そのものだから、両土地の地積を直しても分筆線は動かない
- 代位による更正の登記の後に代位原因が存在しなかったことが分かっても、それは登記事項の錯誤ではないので更正の登記を抹消することはできない
この項目の肢(5) 一覧
- H21-7-エ✕代位による申請で地積の更正の登記がされた場合において、当該土地の所有権の登記名義人は、後日当該代位原因が存しなかったことを明らかにすれば錯誤を原因として地積の更正の登記の抹消を申請することができる。→ 代位原因が存在しなかったことは登記事項の錯誤ではないので、更正の登記の抹消はできない。
- H21-7-オ◯測量の結果が、登記記録の地積と異なる場合において、その差が不動産登記規則に定められている誤差の限度の範囲内であるときであっても、地積の更正の登記を申請することができる。→ 誤差の限度内でも、地積更正の申請はできる。
- H22-11-エ✕分筆の登記の申請をするに当たり、申請人が分筆線の位置を誤って申請してしまい、それぞれの地積が予定していた地積と異なってしまった場合には、分筆の登記がされた後の両土地について、地積に関する更正の登記の申請をすることができる。→ 地積更正で直せるのは地積だけ。分筆線は動かせない。
- R6-7-ア◯甲土地の登記記録の地積と申請情報の内容とする地積との差が公差の範囲内である場合であっても、甲土地の地積に関する更正の登記を申請することができる。→ 公差の範囲内でも、更正の登記はできる。
- H21-7-イ✕甲地の一部を乙地とする分筆の登記の申請において、申請しようとする分筆線の位置を誤って申請し、そのまま登記が完了した場合には、分筆線の位置を更正するために甲地及び乙地について地積の更正の登記を申請することができる。→ 分筆線の誤りは、地積更正では直せない。
地積の変更か更正かどの登記によるか
- 一筆の土地の一部が常時海面下に没したときは、その部分は土地でなくなるが残部は存続するので、地積が減少したことによる変更の登記(法37条1項)
- 滅失の登記ではない
- 海面下に没したのは登記の後に生じた事実だから、更正ではなく変更の登記による
- 更正は登記が初めから誤っていたときのもの
この項目の肢(3) 一覧
- H29-13-イ◯A欄: 天災等の自然現象によって一筆の土地の一部が常時海面下に没する状態になった場合 B欄: 地積に関する変更の登記→ 一部が常時海面下になったら、その分だけ減った地積の変更の登記。
- R1-6-オ◯いいえ、この場合は全部が滅失したとは言えません。この場合には、一筆の土地の一部が海面下に没したことによる地積の変更の登記の申請をすることになります。→ 一部が海面下に没しただけなら、地積の変更の登記。
- R6-7-イ✕地殻変動によって一筆の土地の一部が常時海面下に没するようになった場合には、当該一筆の土地の地積が減少したことによる地積に関する更正の登記を申請することができる。→ 海面下に没したのは後から生じた事実。更正ではなく変更の登記による。
地積の更正の申請人誰が申請できるか
- 申請できるのはその土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人(法38条)
- 抵当権の登記名義人は、地積に利害があっても自分の資格では申請人になれない
- 地積の更正は錯誤を正す報告的な登記だから、共有物の保存行為として共有者の一人から単独で申請できる
- 表示に関する登記について登記手続を命ずる判決を得て代位申請することはできない
- 誤りは登記官の職権の発動を促して正す
- 解散決議がされた株式会社でも、代表清算人が会社を代表して会社名義の土地の地積の更正の登記を申請できる
この項目の肢(6) 一覧
- H17-15-ウ◯共有名義の土地の地積に関する更正の登記の申請は、共有者として登記されている登記名義人のうちの1人が単独ですることができる。→ 地積の更正の登記の申請は共有物の保存行為に当たり、各共有者が単独ですることができる。
- H20-9-ウ◯株主総会において解散決議がされた株式会社の代表清算人は、当該会社が所有権の登記名義人である土地の地積に関する更正の登記を申請することができる。→ 代表清算人は清算株式会社を代表するので、その会社名義の土地の更正の登記を申請できる。
- H21-7-ウ✕地積に誤りがある土地の利害関係人は、当該土地の所有権の登記名義人に対し地積の更正の登記手続を命ずる判決を得て、代位により地積の更正の登記を申請することができる。→ 表示に関する登記について登記手続を命ずる判決を得て代位申請をすることはできない。
- H25-7-エ◯第1欄: 甲土地の所有権の登記名義人としてA及びBが記録されている場合 第2欄: 更正後の地積が減少することとなる甲土地の地積の更正の登記→ 地積の更正は、共有者の一人から申請できる。
- H26-9-エ✕土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人のほか、当該土地の抵当権の登記名義人も、当該土地について地積の更正の登記を申請することができる。→ 抵当権の登記名義人は、自ら申請人として地積の更正の登記を申請することはできない。
- R2-8-ア✕登記記録の地積に錯誤があることが判明した土地の抵当権の登記名義人は、当該土地の地積に関する更正の登記を申請することができる。→ 土地の表題部の更正の登記は、表題部所有者か所有権の登記名義人しか申請できない。
地積の更正いつまでに申請しなければならないか
- 更正の登記には義務も期間もない
- 法38条は申請できる者を限る規定で、新たな所有者に義務を課すものではない
- 誤りを知った日から1か月、という肢は✕
この項目の肢(5) 一覧
- H17-15-ア✕登記記録の地積に錯誤があるにもかかわらず、当該土地の所有権の登記名義人がその更正の登記をしないまま第三者に所有権を移転した場合には、新たな所有者は、その更正の登記の申請をしなければならない。→ 38条は更正の登記の申請適格を限定する規定であって、新たな所有者に申請義務を課すものではない。
- H22-11-オ✕表題部所有者又は所有権の登記名義人は、登記されている地積と実際の地積が相違することが判明した日から1か月以内に、地積に関する更正の登記を申請しなければならない。→ 表題部の更正の登記には、申請義務も申請期限もない。
- H26-9-ア✕土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人は、地積について錯誤があったことが判明した日から1か月以内に、地積の更正の登記を申請しなければならない。→ 地積の更正の登記に、申請義務も申請期間もない。
- R4-7-ア✕土地の地積が誤って登記されていることを知った当該土地の所有権の登記名義人は、地積が誤っていることを知った日から1か月以内に、地積に関する更正の登記を申請しなければならない。→ 更正の登記に申請期間の定めはない。
- R6-7-オ✕土地の登記記録の地積に誤りがあることが判明した後に当該土地の所有権の登記名義人となった者は、その者に係る所有権の登記があった日から1か月以内に、当該土地の地積に関する更正の登記を申請しなければならない。→ 更正の登記に申請期間の定めはない。
地積の更正の一括申請まとめて申請できるか
- 同じ名義人の二筆の地積更正は、地番区域が違っても同一の登記所の管轄内なら令4条ただし書で一括できる
- 地積の更正の登記には正しい地積を示す地積測量図が付いてくるので、併せて地積測量図の訂正の申出をする必要はない
- 図面の訂正の申出は、登記記録は正しく図面だけが誤っている場合の手続
この項目の肢(2) 一覧
- H30-8-ウ◯地番区域が相互に異なり、所有権の登記名義人が同一である甲土地と乙土地のそれぞれについて、当該登記名義人が地積に関する更正の登記を申請する場合において、甲土地と乙土地とが同一の登記所の管轄区域内にあるときは、一の申請情報により、当該申請をすることができる。→ 登記の目的と登記原因が同じなら、同一登記所内の二筆を一の申請情報でできる。
- H21-13-ウ✕土地の登記記録の地積に錯誤があり、当該土地の地積測量図に誤りがある場合において、地積に関する更正の登記の申請をするときは、この申請と併せて地積測量図の訂正の申出をしなければならない。→ 地積の更正の登記には地積測量図を提供するので、別に訂正の申出をする必要はない。
何を添付するか
- 地積の更正の登記の添付情報は地積測量図だけ(令別表6項)
- もともと誤っていた登記を直すだけだから、更正後の地積が増えても増加部分の所有権を証する情報は要らない
- 備付けの地積測量図の地積と更正後の地積との差が公差の範囲内でも、地積測量図の提供は省略できない
この項目の肢(4) 一覧
- H17-15-エ✕地積に関する更正の登記の申請をする場合において、地積が増加するときは、その増加部分について表題部所有者又は所有権の登記名義人が所有権を有することを証する情報を申請情報と併せて提供しなければならない。→ 地積が増えても、所有権を証する情報は要らない。
- R2-8-エ✕土地の地積に関する更正の登記を申請する場合において、更正後の土地の地積が増加するときは、添付情報として、増加部分の所有権を有することを証する情報を提供しなければならない。→ 地積の更正の登記の添付情報は、地積測量図。増えても同じ。
- R4-7-イ✕甲土地の地積に関する更正の登記を申請する場合において、登記所に備え付けられた甲土地の地積測量図に記載された地積と更正後の地積の差が公差の範囲内であるときは、地積測量図の提供を省略することができる。→ 地積測量図は必ず要る。誤差の範囲でも省けない。
- R8-7-ウ✕地積が増加する地積に関する更正の登記の申請をする場合には、添付情報として、その増加部分について表題部所有者又は所有権の登記名義人が所有権を有することを証する情報を提供しなければならない。→ 地積が増えても、増加部分の所有権を証する情報は要らない。
地積の更正権利者の承諾は要るか
- 地積の更正の登記の添付情報は地積測量図だけ(令別表6項)
- 地積が減っても抵当権の及ぶ土地そのものは動かないから、抵当権の登記名義人の承諾を証する情報は要らない
- 地積が増える更正でも隣地の所有権の登記名義人の承諾は要らない
- 更正は自分の土地の記録を正しい姿に直すもので、隣地との筆界を動かすものではない
- 共有者や相続人の一人から申請するときも、他の共有者・相続人の承諾を証する情報は要らない
- 登記記録を現況に合わせるのは保存行為だから(民法252条5項)
この項目の肢(9) 一覧
- H17-15-イ✕抵当権の設定の登記がされた土地について地積に関する更正の登記の申請をする場合には、抵当権の登記名義人が承諾したことを証する情報を申請情報と併せて提供しなければならない。→ 地積更正に抵当権者の承諾は要らない。
- H22-11-ア✕抵当権の登記がある土地の地積に関する更正の登記の申請をする場合において、その土地の地積が減少するときは、抵当権者の承諾があったことを証する情報を提供しなければならない。→ 地積が減る更正でも、抵当権者の承諾は要らない。
- H26-9-ウ◯土地の地積が減少することとなる地積の更正の登記を申請する場合には、当該土地に抵当権の設定の登記がされていても、その抵当権の登記名義人が承諾したことを証する情報を提供することを要しない。→ 地積の更正の登記の添付情報は地積測量図だけで、抵当権者の承諾を証する情報は求められていない。
- H26-9-オ◯A及びBが所有権の登記名義人である土地について、Aが単独で地積の更正の登記を申請する場合であっても、Bが承諾したことを証する情報を提供することを要しない。→ 共有者の一人から地積の更正の登記を申請する場合に、他の共有者の承諾を証する情報は要らない。
- H30-8-ア✕抵当権の設定の登記がされている土地について、地積に関する更正の登記を申請する場合には、その申請情報と併せて、当該抵当権の登記名義人が登記記録上の地積を更正することについて承諾したことを証する情報を提供しなければならない。→ 地積更正の添付情報は地積測量図だけ。抵当権者の承諾は要らない。
- R6-7-ウ◯土地の地積が減少することとなる地積に関する更正の登記を申請する場合において、当該土地に抵当権の登記があるときであっても、当該抵当権の登記名義人が地積を更正することについて承諾したことを証する情報を提供することを要しない。→ 地積の更正の登記の添付情報は地積測量図。抵当権者の承諾は要らない。
- R6-7-エ✕土地の地積が増加することとなる地積に関する更正の登記を申請する場合には、当該土地に隣接する土地の所有権の登記名義人が地積を更正することについて承諾したことを証する情報を提供しなければならない。→ 隣地所有者の承諾を求める定めはない。
- R2-8-オ◯土地の所有権の登記名義人が死亡し、その相続人の一人が当該土地の地積に関する更正の登記を申請する場合には、添付情報として、他の相続人の承諾を証する情報を提供することを要しない。→ 表示に関する登記の申請は保存行為。共有者の一人が単独でできる。
- R8-7-ア◯土地の所有権の登記名義人が死亡し、その相続人の1人が当該土地の地積に関する更正の登記を申請する場合には、添付情報として、他の相続人の承諾を証する情報を提供することを要しない。→ 地積の更正は保存行為。相続人の一人が他の相続人の承諾なしに申請できる。
筆界特定後の地積更正登記官が職権でするか
- 一筆の全部の筆界について筆界特定がされ、地積に錯誤があると認められるときは、登記官は職権で地積の更正の登記をすることができる
- 「しなければならない」ではない
この項目の肢(1) 一覧
- R2-8-ウ✕一筆の土地に係る全ての筆界について筆界特定がされた場合において、筆界特定手続記録により、当該土地の登記記録の地積に錯誤があると認められるときは、当該土地の管轄登記所の登記官は、当該土地の表題部所有者又は所有権の登記名義人に対して地積に関する更正の登記の申請を促すことなく、職権で地積に関する更正の登記をしなければならない。→ 職権は「することができる」。しなければならない、ではない。
登記原因と日付
- 法14条地図の作成作業に伴い登記官が職権で登記記録の地積を更正するときは、原因及びその日付を「③錯誤,地図作成」と記録する(平16.3.15民二731号)
この項目の肢(1) 一覧
- R8-4-ウ◯法務局地図作成事業により地図が作成される場合において、登記官が、職権で、当該事業の対象とされた土地の登記記録の地積を更正するときは、登記原因及びその日付は、「錯誤、地図作成」と記録される。→ 地図作成に伴う地積の更正は「錯誤、地図作成」と記録する。
ひっかけ・例外(規定がないこと)
- 更正の登記について、申請の義務と期間を定める規定はない。義務が課されているのは変更の登記である。
- 土地の表題部の更正の登記に、申請期間を定めた規定はない。
根拠
不動産登記法第37条地目又は地積の変更の登記の申請
1項地目又は地積について変更があったときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その変更があった日から一月以内に、当該地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない。
2項地目又は地積について変更があった後に表題部所有者又は所有権の登記名義人となった者は、その者に係る表題部所有者についての更正の登記又は所有権の登記があった日から一月以内に、当該地目又は地積に関する変更の登記を申請しなければならない。
不動産登記法第38条土地の表題部の更正の登記の申請
1項第二十七条第一号、第二号若しくは第四号(同号にあっては、法務省令で定めるものに限る。)又は第三十四条第一項第一号、第三号若しくは第四号に掲げる登記事項に関する更正の登記は、表題部所有者又は所有権の登記名義人以外の者は、申請することができない。