地役権と表示に関する登記(承役地・要役地の分筆・合筆、地役権図面)

地役権は要役地のために承役地を使う権利で、承役地の登記記録に登記され、要役地の登記記録にも要役地である旨が記録される。

承役地の分筆

地役権設定の範囲が分筆後の土地の一部であるときは、その範囲を申請情報の内容とし、地役権図面を添付する(令別表8項)。

承役地を分筆して範囲が変わるときは、要役地の登記記録の承役地に関する事項を登記官が職権で変更する。新しい地役権図面が提供されれば従前の図面は閉鎖される。

分筆後の一方で地役権を消滅させるときは、地役権を目的とする第三者の権利(仮登記など)やその土地を目的とする抵当権があれば、その第三者の承諾を証する情報も要る。

合筆の制限

合筆後の登記記録に残せる権利の登記は限られていて、地役権では承役地についてする地役権の登記だけ(法41条6号、規則105条1号)。

代位分筆はできない

一筆の土地の一部に地役権の設定を受けた地役権者は、承役地の所有権の登記名義人に代位して分筆の登記を申請できない。地役権は一筆の一部についても設定の登記ができるので、分筆しなければ権利を守れないという関係にないから。

この項目で問われること

記録事項(範囲であって地積ではない、承役地と隣地の地番)、作り方・縮尺(何を添付するかの項目)、分筆の代位ができないこと(申請人の項目)。

地役権設定のための分筆と地積どう認定するか

この項目の肢(1)
  1. H20-6-ウ畑として利用されている甲土地から、地役権を設定するため、高圧線下となった土地を分筆して乙土地とする場合において、この部分の実測面積が34.9471平方メートルであるときは、地積は34.94平方メートルである。→ 畑も雑種地も宅地・鉱泉地以外の土地であり、10平方メートルを超えるので1平方メートル未満を切り捨てる。

地役権と合筆の可否できるか、できないか

この項目の肢(5)
  1. H18-13-3甲土地に要役地を丙土地とする地役権の登記があり、乙土地に要役地を丁土地とする地役権の登記がある場合でも、甲土地と乙土地との合筆の登記をすることができる。→ 承役地についてする地役権の登記は、合筆後の土地の登記記録に登記することができるものとして合筆制限の例外とされている。
  2. H19-10-ア甲地及び乙地について丙地を承役地とする地役権の登記がある場合において、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一であるときは、甲地及び乙地について合筆の登記を申請することができる。→ 合筆後の登記記録に残せる地役権の登記は、承役地についてするものに限られる。
  3. H23-7-イ要役地についてする地役権の登記がある土地で地番に支号がないものについて分筆の登記をする場合において、当該地役権を分筆後のいずれかの土地について消滅させることを証する地役権者が作成した情報が提供され、当該土地の地役権を抹消するときは、分筆した土地について支号を用いない地番を存することができる。→ 規則104条6項の場合には、分筆した土地について支号を用いない地番を存することができる。
  4. H24-8-ウ甲土地に承役地についてする地役権の登記がある場合には、甲土地を他の土地に合筆する合筆の登記を申請することはできない。→ 承役地についてする地役権の登記は、合筆後の土地に残せる権利の登記に挙げられている。
  5. R2-10-エ甲土地と乙土地に、いずれも丙土地を承役地とする地役権の登記がされており、それぞれ地役権設定の目的及び範囲並びに登記の年月日が同一であるときは、本件合筆の登記を申請することができる。→ 105条1号が認めるのは承役地の地役権。甲乙は要役地だから合筆できない。

一部への地役権と分筆の代位誰が申請できるか

この項目の肢(4)
  1. H27-11-イ一筆の土地の一部について地役権の設定を受けた地役権者は、代位による分筆の登記を申請することができる。→ 一筆の一部にも地役権の設定の登記ができるから、分筆を代位して求める前提を欠く。
  2. R1-14-イ一筆の土地の一部について地役権の設定を受けた地役権者は、当該土地の所有権の登記名義人に代位して、その一部分を分筆する分筆の登記を申請することができる。→ 一部への地役権は分筆せずに登記できるので、代位の必要がない。
  3. R6-11-エAを所有権の登記名義人とする甲土地の一部に地役権を設定したBは、Aに代位して甲土地の分筆の登記を申請することができない。→ 地役権は土地の一部にも設定できる。分筆させる必要がない。
  4. H23-11-オ甲土地の一部に地役権の設定を受けた地役権者Aは、甲土地の所有者Bに代位して分筆の登記を申請することができる。→ 地役権は土地の一部についても登記できるので、分筆をしなければ権利を守れないという関係にない。

地役権図面何を添付するか

この項目の肢(16)
  1. H20-11-ウ地役権図面には、作成の年月日を記録し、申請人が記名するとともに、地役権者が署名し、又は記名押印しなければならない。→ 地役権図面には作成の年月日と申請人の氏名を記録し、地役権者が署名又は記名押印する。
  2. H20-11-エ土地の分筆の登記を申請する場合において、地積測量図及び地役権図面を提供する場合には、地役権図面を作成するための誤差の限度は、地積測量図を作成する誤差の限度と同一の誤差の限度によるものとする。→ 地役権図面には誤差の限度の定めがなく、地積測量図と同一の限度によるとする規定もない。
  3. H28-11-イ地役権図面は、土地の状況その他の事情により適当でないときを除き、250分の1の縮尺により作成しなければならない。→ 地役権図面の縮尺は、適宜でよい。
  4. R1-7-ウ地役権の設定の登記がある承役地である土地の分筆の登記を申請する場合において、添付情報として地積測量図を地役権図面とともに提供するときは、地積測量図の縮尺を地役権図面の縮尺と同一にしなければならない。→ 縮尺をそろえよという規定はない。
  5. R6-10-ア書面を提出する方法により地役権図面を提供する場合には、当該地役権図面に地役権者が署名し、又は記名押印しなければならない。→ 書面の地役権図面には、地役権者が署名し又は記名押印する。
  6. R6-10-イ承役地についてする地役権の登記がある土地の分筆の登記を申請する場合において、その添付情報として地積測量図と併せて地役権図面を提供するときは、当該地役権図面の縮尺を当該地積測量図の縮尺と同一にしなければならない。→ 地役権図面は適宜の縮尺でよい。
  7. H18-14-イ地役権の登記がある承役地の分筆の登記を申請する場合において、地役権設定の範囲が分筆後の土地の一部であるときは、添付情報として、当該地役権設定の範囲を証する地役権者が作成した情報又は当該地役権者に対抗することができる裁判があったことを証する情報を提供しなければならない。→ 承役地の分筆で地役権設定の範囲が分筆後の土地の一部であるときは、その範囲を証する地役権者作成の情報を提供する。
  8. H20-8-ア甲土地に要役地についてする地役権の登記がある場合には、乙土地に合筆しようとする部分について地役権を消滅させることを証する地役権者の作成した情報を提供して、本件分合筆の登記を申請することができる。→ 要役地についてする地役権は、地役権者が作成した消滅を証する情報を提供して分筆後の土地について消滅させられる。
  9. H20-13-オ甲土地の一部について地役権の設定の登記がされている場合において、甲土地の地役権が存する部分を乙土地として分筆する分筆の登記を申請するときは、地役権図面を併せて提供しなければならない。→ 地役権図面が要るのは、地役権設定の範囲が分筆後の土地の一部であるときに限られる。
  10. H22-16-ウ地役権の登記がある承役地の分筆の登記を申請する場合において、地役権設定の範囲が分筆後の土地の一部であるときに提供する、当該地役権設定の範囲を証する地役権者が作成した情報→ 承役地の分筆を申請するのは承役地の所有者であり、地役権者が作成した情報は第三者が作成したものである。
  11. H23-8-イ承役地についてする地役権の登記がある土地の分筆の登記又は合筆の登記を申請する場合において、地役権の設定の範囲が分筆後又は合筆後の土地の一部となるときは、申請情報には地役権の設定の範囲を記載し、地役権図面及び地役権証明書を添付しなければならない。→ 分筆でも合筆でも、地役権設定の範囲を申請情報の内容とし、地役権者が作成した情報と地役権図面を提供する。
  12. H24-7-ア承役地についてする地役権の登記がある甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記を申請する場合において、地役権設定の範囲が分筆後の甲土地の一部のみとなるときは、既に地役権図面が備えられているとしても、地役権図面を申請情報と併せて登記所に提供しなければならない。→ 地役権設定の範囲が分筆後の土地の一部となるときは、地役権図面を提供しなければならない。
  13. H27-6-オ甲土地を要役地とする地役権の設定の登記がされている乙土地と、地役権の設定の登記がされていない丙土地との合筆の登記を申請する場合には、当該地役権設定の範囲を証する地役権者が作成した情報又は当該地役権者に対抗することができる裁判があったことを証する情報及び地役権図面を添付情報として提供しなければならない。→ 合筆後の土地の一部が地役権設定の範囲となるときは、範囲を証する情報と地役権図面を提供する。
  14. R6-5-ア地役権の登記がある承役地の分筆の登記を申請する場合において、地役権設定の範囲が分筆後の土地の一部であるときに提供する当該地役権設定の範囲を証する書面→ 承諾に類する情報は対象外。原本の提示を省略できない。
  15. R6-8-ア要役地についてする地役権の登記がある土地について、その所有権の登記名義人であり、地役権者である株式会社が分筆の登記を申請する場合において、当該地役権を分筆後のいずれかの土地について消滅させることを証する書面を添付情報として提供し、当該株式会社の会社法人等番号を申請情報として提供したときは、当該株式会社の印鑑に関する証明書の提供を要しない。→ 規則50条2項が準用する48条により、印鑑証明書の提供が要らない場合がある。
  16. R6-10-ウ承役地についてする地役権の登記がある甲土地に地役権図面が備え付けられている場合において、甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記を申請し、地役権設定の範囲が分筆後の甲土地の一部のみとなるときは、当該申請の申請情報と併せて地役権図面を提供することを要しない。→ 範囲が分筆後の土地の一部となるなら、地役権図面が要る。

地役権の消滅と第三者の承諾権利者の承諾は要るか

この項目の肢(2)
  1. H19-12-エ甲地の全部に乙地を要役地とする地役権の設定の登記がされ、その後に、乙地について所有権の移転の仮登記がされた場合において、甲地から丙地を分筆し、丙地について地役権を消滅させる旨の分筆の登記の申請をするときは、その地役権者が丙地について地役権を消滅させることを承諾したことを証する情報のほか、仮登記名義人が同様に承諾したことを証する情報を併せて提供しなければならない。→ 地役権を目的とする第三者の権利に関する登記があるときは、その第三者の承諾も必要である。
  2. H24-7-ウ要役地について地役権の登記がある甲土地から乙土地を分筆し、乙土地について地役権を消滅させる登記を申請する場合において、分筆前の甲土地を目的とする抵当権の登記があるときは、分筆後の乙土地について地役権を消滅させることを証する地役権者が作成した情報のほか、抵当権者が当該地役権を消滅させることを承諾したことを証する情報も、申請情報と併せて登記所に提供しなければならない。→ その土地を目的とする第三者の権利に関する登記があるときは、その第三者の承諾を証する情報も要る。

要役地の記録の職権変更登記官が職権でするか

この項目の肢(1)
  1. H22-18-ウ甲土地を要役地とする地役権設定登記がされている乙土地を分筆する場合において、分筆後の土地の一部について地役権が存続するときは、甲土地の登記記録に記録されている承役地である不動産に関する事項については、職権で変更の登記がされる。→ 承役地を分筆して地役権の範囲が変わるときは、要役地の登記記録が職権で変更される。

地役権図面の記録事項申請情報と記録のしかた

この項目の肢(6)
  1. H20-11-イ地役権図面は、地役権の存する範囲及びその地積を明確にして作成しなければならない。→ 地役権図面に記録するのは地役権設定の範囲であって、その地積ではない。
  2. R6-10-オ地役権図面には、要役地の所在地番を記録しなければならない。→ 地役権図面に記録するのは承役地の地番と隣地の地番。要役地の所在地番ではない。
  3. H24-4-イ地役権の登記がある承役地の分筆の登記を申請する場合において、地役権設定の範囲が分筆後の土地の一部であるときは、分筆前の土地の地役権図面の番号を申請情報の内容とすることを要しない。→ 申請情報の内容とするのは地役権設定の範囲であって、分筆前の地役権図面の番号ではない。
  4. H24-7-イ承役地についてする地役権の登記がある甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記を申請する場合において、地役権設定の範囲が分筆後の甲土地の全部のみとなるときは、甲土地の登記記録については地役権の範囲を甲土地全部に変更する旨を記録し、乙土地の登記記録については地役権の登記を甲土地の登記記録から転写した後、当該地役権の登記が抹消される。→ 乙土地に地役権が残らないなら、転写自体されない。
  5. H28-10-ア地役権の登記がある承役地の合筆の登記を申請する場合において、地役権設定の範囲が合筆後の土地の一部であるときは、当該地役権設定の範囲を申請情報の内容としなければならない。→ 地役権の範囲が合筆後の一部になるときは、その範囲を申請情報の内容とする。
  6. R6-9-オ承役地についてする地役権の登記がある甲土地に地役権の登記がない乙土地を合筆する合筆の登記を申請する場合には、地役権設定の範囲を申請情報の内容としなければならない。→ 承役地の合筆で範囲が一部にとどまるなら、その範囲を申請情報とする。

地役権図面の交付と保存手続と制度

この項目の肢(3)
  1. H26-18-ウ電磁的記録に記録されている地役権図面の内容を証明した書面の交付の請求は、電子情報処理組織を使用して請求情報を登記所に提供する方法によることができる。→ 地役権図面は法121条1項の図面であり、その交付の請求には規則201条4項を通じて電子情報処理組織による方法が使える。
  2. H28-11-エ地役権図面つづり込み帳につづり込まれた地役権図面は、閉鎖した日から30年間保存される。→ 地役権図面の保存期間は、閉鎖した日から30年間。
  3. R6-10-エ承役地についてする地役権の登記がある甲土地に地役権図面が備え付けられている場合において、新たな地役権図面を添付情報として提供して甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記を申請し、当該登記がされたときは、従前の地役権図面は、閉鎖される。→ 新しい図面が入れば、従前の地役権図面は閉鎖される。

根拠

不動産登記規則第79条地役権図面の内容

1項地役権図面には、地役権設定の範囲を明確にし、方位、縮尺、地番及び隣地の地番並びに申請人の氏名又は名称を記録しなければならない。

2項地役権図面は、適宜の縮尺により作成することができる。

3項地役権図面には、作成の年月日を記録しなければならない。

4項地役権図面(書面である場合に限る。)には、地役権者が署名し、又は記名押印しなければならない。

不動産登記規則第80条地役権図面の作成方式

1項第七十三条第一項及び第七十四条第一項の規定は、地役権図面について準用する。

2項書面申請において提出する地役権図面(電磁的記録に記録して提出するものを除く。)は、別記第三号様式により、日本産業規格B列四番の丈夫な用紙を用いて作成しなければならない。

不動産登記法第41条合筆の登記の制限

次に掲げる合筆の登記は、することができない。

6号所有権の登記以外の権利に関する登記がある土地(権利に関する登記であって、合筆後の土地の登記記録に登記することができるものとして法務省令で定めるものがある土地を除く。)の合筆の登記

不動産登記規則第105条合筆の登記の制限の特例

法第四十一条第六号の合筆後の土地の登記記録に登記することができる権利に関する登記は、次に掲げる登記とする。

1号承役地についてする地役権の登記

2号担保権の登記であって、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付が同一のもの

3号信託の登記であって、法第九十七条第一項各号に掲げる登記事項が同一のもの

4号鉱害賠償登録令(昭和三十年政令第二十七号)第二十六条に規定する鉱害賠償登録に関する登記であって、鉱害賠償登録規則(昭和三十年法務省令第四十七号)第二条に規定する登録番号が同一のもの

不動産登記規則第104条分筆に伴う権利の消滅の登記

法第四十条の規定による権利が消滅した旨の登記は、分筆の登記の申請情報と併せて次に掲げる情報が提供された場合にするものとする。

4項第二項の規定は、承役地についてする地役権の登記がある甲土地から乙土地を分筆する分筆の登記をする場合において、乙土地に地役権が存しないこととなるとき(法第四十条の場合を除く。)について準用する。