登記原因と日付(何を原因として、いつの日付で登記するか)
登記原因及びその日付は申請情報の内容であり(令3条6号)、登記記録にも記録される(法27条1号)。
- 表示に関する登記の原因は「どんな事実が起きたか」で、日付はその事実が現に生じた日
- 許可の日、契約の日、払下げの日ではない
- そもそも原因のない登記(土地の表題登記、分筆、合筆)もあり、そこに原因を書かせる肢は誤り
- 出題は三つの型に集約される
- 原因が要るか要らないか、原因の言い方、日付をどの日にとるか
原因が要るか
原因は「登記すべき事実」なので、事実がない登記には原因がない。
- 分筆・合筆は土地の分け方を変えるだけで事実ではないから原因はなく、分筆と併せて地目の変更を申請するときはその分だけ原因と日付を書く
- 土地の表題登記も原因を要しない(埋立ての竣功などを書く扱いはあるが法令上の要件ではない)
- 建物の表題登記は「年月日新築」が原因
いずれも表題登記のない建物どうしの合体は、合体による登記等ではなく表題登記なので、原因は「新築」等になる。
| 登記 | 原因 | 備考 |
|---|---|---|
| 土地の表題登記 | 不要 | |
| 分筆・合筆 | 不要 | 併せて申請する地目変更などの分だけ書く |
| 建物の表題登記 | 年月日新築 | 払下げの日、取得の日ではない |
| 地目の変更 | 年月日地目変更 | 日付は現況が変わった日 |
| 床面積の変更(増築) | 年月日増築 | 数次の増築は最終の増築の日だけ |
| 所在の変更(えい行移転) | 年月日えい行移転 | 「所在地番変更」ではない |
| 表題部所有者の氏名・住所 | 氏名変更/住所移転 | |
| 共用部分である旨 | 規約設定の年月日 | 原因及びその日付欄に記録される |
| 敷地権 | 敷地利用権の取得か建物の成立の後の方 | 下の節 |
| 敷地権の消滅 | 敷地権消滅 |
日付をどの日にとるか
日付は事実が現に生じた日。
- 地目の変更なら現況が変わった日で、農地転用の許可の日ではない
- 途中で地目が何度か変わっていても、書くのは最後の変更の原因と日付だけ
- 増築が数次にわたるときも最終の増築の日で足りる
附属建物の新築の日が主である建物と同じなら、附属建物の側には原因及びその日付を記録しない。
- 違うときだけ記録する
- 滅失の登記では附属建物の表示欄の原因及びその日付欄には何も記録しない
敷地権の登記原因の日付
敷地権は登記された敷地利用権なので、日付は敷地利用権の取得と区分建物の成立のどちらが後かで決まる。
- 前から敷地利用権を持っていたなら区分建物が生じた日(新築の日)
- 建物が生じた後に敷地を取得したなら、その取得の登記の日であって、取得の日でも新築の日でもない
- 敷地権の存在を原因とする更正の登記でも、登記原因及びその日付を申請情報の内容とする
登記の種類ごとに
敷地権の登記原因と日付敷地権
- 敷地権の登記原因の日付は、敷地利用権の取得と区分建物の成立のどちらが後かで決まる
- 前から敷地利用権を持っていたなら区分建物が生じた日(新築の日)
- 建物が生じた後に敷地を取得したなら、その取得の登記の日(敷地権は登記された敷地利用権だから、取得の日でも新築の日でもない)
- 敷地権の存在を原因とする更正の登記でも、登記原因及びその日付を申請情報の内容とする
- 敷地権が消滅したときの登記原因は「敷地権消滅」
この項目の肢(7)
- H20-14-オ✕Bが所有する土地に区分建物を新築したAが、当該建物の完成後、Bからその土地を買い受けて、敷地権付き区分建物として表題登記を申請する場合、敷地権の登記原因の日付は、区分建物の新築の日である。→ 敷地権が生じるのは敷地利用権を取得した日であって、建物の新築の日ではない。
- H20-19-3◯敷地権の登記原因の日付は、建物の所有者が建物の新築、建物の区分等により区分建物が生じた日前から建物の敷地につき登記した所有権、地上権又は賃借権を有していたときは、その区分建物が生じた日である。→ 前から権利を持っていたなら、原因日付は区分建物が生じた日。
- H26-16-ア◯区分建物が新築された後、当該区分建物の所有者がその敷地について登記された所有権を取得して、その取得の登記がされた場合において、当該所有権を敷地権とする区分建物の表題登記を申請するときは、敷地権の表示の登記原因の日付として、当該所有権の取得の登記の日を申請情報の内容とする。→ 敷地権となるのは登記された敷地利用権だから、原因の日付は所有権の取得の登記の日となる。
- H28-16-ウ◯敷地権があるのにその登記をしないで区分建物の表題登記がされていた場合において、建物の表題部の更正の登記を申請するときは、敷地権の表示の登記原因及びその日付も申請情報の内容としなければならない。→ 敷地権の存在を原因とする更正の登記では、登記原因及びその日付も申請情報とする。
- H30-12-エ✕Bが所有する土地に区分建物が属する一棟の建物を新築したAが、当該建物の完成後、Bからその土地を買い受けて、敷地権付き区分建物として当該建物の表題登記を申請した場合において、当該敷地権付き区分建物の表題部に記録される敷地権に係る登記の登記原因の日付は、当該建物の表題登記の申請日である。→ 建物が生じた後に敷地を取得したのなら、原因の日付は取得の登記の日。
- R1-18-エ◯敷地権である地上権の存続期間が満了したことにより、敷地権の登記を抹消する区分建物の表題部の変更の登記を申請する場合には、登記原因及びその日付に「(元号)何年何月何日敷地権消滅」と記録して申請する。→ 敷地権が消滅したときの登記原因は「敷地権消滅」。
- R2-14-イ◯敷地権が存在していたがその登記をしないで区分建物の表題登記がされていた場合において、建物の表題部の更正の登記を申請するときは、敷地権の表示の登記原因及びその日付も申請情報の内容としなければならない。→ 敷地権の存在を原因とする更正の登記でも、原因と日付は申請情報の内容。
表題登記の登記原因建物の表題登記
- 建物の表題登記の登記原因は「年月日新築」
- 国有地の払下げの日などではない
- 敷地権がある区分建物の表題登記では、敷地権の目的である土地・敷地権の種類と割合・敷地権の登記原因及びその日付も申請情報の内容とする
この項目の肢(3)
- H17-5-エ✕国から払下げを受けた建物の表題登記の申請をする場合の申請情報の内容のうち、登記原因の日付は、払下げの年月日である。→ 建物の表題登記の原因は「年月日新築」。払下げ日ではない。
- H17-10-ア◯区分建物の表題登記の申請をする場合において、当該区分建物について敷地権が存するときは、敷地権の目的となる土地の所在する市、区、郡、町、村及び字並びに当該土地の地番、地目及び地積、敷地権の種類及び割合並びに敷地権の登記原因及びその日付を申請情報の内容としなければならない。→ 敷地権が存する場合の建物の表題登記では、土地の表示・敷地権の種類及び割合・登記原因及びその日付を申請情報の内容とする。
- H18-19-ア✕敷地権付き区分建物の表題登記を申請するときは、敷地権の目的となる土地の不動産所在事項、地目及び地積並びに敷地権の種類及び割合を申請情報の内容としなければならないが、敷地権の登記原因及びその日付は、申請情報の内容とすることを要しない。→ 敷地権の登記原因及びその日付も、申請情報の内容としなければならない。
分筆の登記原因分筆
- 分筆の登記に登記原因はない
- 申請情報に登記原因及びその日付を書くのは、地目の変更の登記などを併せて申請するときのその分だけ
- 登記原因及びその日付は申請情報の内容とする(令3条6号。所有権の保存の登記は敷地権付き区分建物について法74条2項で申請する場合に限る)
- 分筆は原因が無いので書かない
この項目の肢(3)
- H20-13-エ◯一筆の土地の一部が別の地目になったことにより、地目に関する変更の登記と分筆の登記とを一の申請情報により申請するときは、登記原因及びその日付を申請情報の内容としなければならない。→ 登記原因及びその日付は、所有権の保存の登記の場合を除き、申請情報の内容としなければならない。
- H27-6-イ◯地積の変更の登記と分筆の登記とを一の申請情報により申請する場合には、地積の変更の登記についてのみ登記原因及びその日付を申請情報の内容としなければならない。→ 分筆に登記原因はない。原因日付を書くのは変更の分だけ。
- R2-9-イ◯一筆の土地の一部が別の地目になったことにより、地目に関する変更の登記と分筆の登記とを一の申請情報により申請するときは、登記原因及びその日付を申請情報の内容としなければならない。→ 地目変更を併せるなら、その原因と日付を書く。
地目変更の原因日付地目
- 地目変更の登記原因の日付は現況が変わった日
- 農地転用の許可の日ではない
変更の原因日付建物の表題部の変更
- 数次にわたる増築は、最終の増築の日を登記原因の日付として記録すれば足りる
この項目の肢(2)
附属建物の原因日付建物の個数・附属建物
- 附属建物の新築の日が主である建物と同一なら、附属建物の登記原因及びその日付は記録しない
- 違うときだけ記録する
地目変更の原因日付地目の変更
- 原因の日付は現況が変わった日
- 農地転用の許可の日ではない
- 途中で地目が何度か変わっていても、書くのは最後の変更の原因と日付だけ
敷地権の原因日付建物の登記事項
- 敷地権は登記された敷地利用権なので、建物が生じた後に敷地を取得したなら原因の日付は所有権の取得の登記の日
この項目の肢(1)
- H26-16-ア◯区分建物が新築された後、当該区分建物の所有者がその敷地について登記された所有権を取得して、その取得の登記がされた場合において、当該所有権を敷地権とする区分建物の表題登記を申請するときは、敷地権の表示の登記原因の日付として、当該所有権の取得の登記の日を申請情報の内容とする。→ 敷地権となるのは登記された敷地利用権だから、原因の日付は所有権の取得の登記の日となる。
登記原因表題部所有者の変更・更正
- 氏名の変更の登記原因は「氏名変更」、住所は「住所移転」
この項目の肢(1)
- R6-15-イ◯表題部所有者の氏名についての変更の登記の登記原因は、「氏名変更」である。→ 氏名の変更の登記原因は「氏名変更」。
えい行移転の登記原因再築・移転
- えい行移転による所在の変更の登記原因は「えい行移転」で、所在地番の変更ではない
この項目の肢(1)
- H26-11-ア✕建物がえい行移転したことにより所在が変更した場合において、当該建物の表題部の変更の登記を申請するときは、その申請情報の内容である登記原因及びその日付について、「年月日所在地番変更」と記録しなければならない。→ えい行移転による所在の変更の登記原因は、所在地番の変更ではなくえい行移転である。
合体の登記原因合体
- いずれも表題登記がない建物の合体は合体による登記等ではなく表題登記なので、原因は「新築」等になる
この項目の肢(1)
- R4-15-オ✕いずれも表題登記がない甲建物及び乙建物が合体して一個の建物となった場合において、当該建物について表題登記をするときは、登記原因及びその日付は「年月日合体」と記録される。→ いずれも表題登記がないなら、合体による登記等ではなく表題登記。原因は「新築」等になる。
登記原因土地の表題登記
- 土地の表題登記に登記原因は要らない
この項目の肢(1)
- R5-7-イ✕国が所有する表題登記がない土地の売払いを受けた者が、当該土地の表題登記を申請する場合には、当該表題登記の登記原因を「国有財産売払」として申請しなければならない。→ 土地の表題登記に登記原因は要らない。
附属建物の欄建物の滅失
- 滅失の登記では、附属建物の表示欄の原因及びその日付欄には何も記録しない
この項目の肢(1)
- R3-17-イ◯取壊し年月日が同一である主である建物と附属建物について滅失の登記をする場合には、当該附属建物の表示欄の原因及びその日付欄には、何らの記録を要しない。→ 附属建物の表示欄の原因及びその日付欄には、何も記録しない。
登記原因共用部分
- 原因及びその日付欄には規約の設定の年月日が記録される
この項目の肢(1)
- H30-16-ウ◯共用部分である旨の登記をするときは、表題部の原因及びその日付欄に当該規約の設定の年月日が記録される。→ 原因及びその日付欄には、規約の設定の年月日が記録される。
根拠
不動産登記令第3条申請情報
登記の申請をする場合に登記所に提供しなければならない法第十八条の申請情報の内容は、次に掲げる事項とする。
不動産登記法第27条表示に関する登記の登記事項
土地及び建物の表示に関する登記の登記事項は、次のとおりとする。
1号登記原因及びその日付