令和5年度・問2

土地家屋調査士 令和5年度 過去問・解答 問2

令和5年度土地家屋調査士試験の問2です。全5肢の問題文と○×の解答を掲載しています。

肢 ア

R5-2-ア民法

Aが甲土地の所有者Bから甲土地を買った場合において、AB間の売買契約上、甲土地の所有権の移転時期に関する特約がないときは、Aは、当該契約締結後直ちに、Bに対して所有権に基づき甲土地の引渡しを請求することができる。

解答:○

特定物の売買では、所有権の移転の時期について特約がない限り、所有権は売買契約の成立の時に買主に移転する。

判例は、売主の所有に属する特定物の売買では、所有権の移転を将来にすべき約旨がない限り、買主に直ちに所有権移転の効力を生ずるとしている。所有権を得た以上、所有権に基づいて引渡しを求められる。

根拠最判昭33.6.20最判昭35.3.22

出典:法務省 令和5年度 土地家屋調査士試験を加工して作成

肢 イ

R5-2-イ民法

Aが甲土地の所有者Bから甲土地を買った場合において、甲土地について、BからAへの所有権の移転の登記がされていないときは、Aは、甲土地を占有する無権利者Cに対して甲土地の明渡しを請求することができない。

解答:×

無権原の占有者は登記がなければ対抗できない第三者に当たらず、明渡しを請求できる。

判例は、177条の第三者を登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有する者に限っている。何の権利もなく占有している者は、登記がないことを持ち出せる立場にない。

根拠民法177条大判昭2.2.21

出典:法務省 令和5年度 土地家屋調査士試験を加工して作成

肢 ウ

R5-2-ウ民法

Aが甲土地を所有し、その旨の登記がされている場合において、無権利者Bが甲土地上に乙建物を建て、占有補助者であるCと共に居住しているときは、Cを建物から退去させるためには、Aは、Cに対し、乙建物から退去して甲土地を明け渡すことを請求しなければならない。

解答:×

占有補助者は独立の占有を有しないから、退去を請求する必要はない。

判例は、使用人としてその家屋に居住しているにすぎない者の占有を、雇主の占有の範囲内で行われているものとしている。独立の占有がない以上、その者を相手に退去を求める必要がない。建物を占有するBに対する請求で足りる。

根拠最判昭35.4.7

出典:法務省 令和5年度 土地家屋調査士試験を加工して作成

肢 エ

R5-2-エ民法

A及びBが甲土地を共有している場合において、無権利者Cが甲土地に産業廃棄物を不法投棄したときは、Aは、単独で、Cに対して当該産業廃棄物を撤去するよう請求することができる。

解答:○

権原なく占有する第三者への共有物の明渡請求は、保存行為に当たる。

判例は、共有地の不法占有による妨害を排除し明渡しを請求する訴えを、各共有者が単独ですることができるとしている。252条5項も保存行為を各共有者が単独でできるとしており、不法投棄物の撤去はこれに当たる。

根拠民法252条5項大判大7.4.19

出典:法務省 令和5年度 土地家屋調査士試験を加工して作成

肢 オ

R5-2-オ民法

所有権が時効によって消滅することはないが、所有権に基づく返還請求権は時効によって消滅する。

解答:×

所有権は消滅時効にかからず、所有権に基づく物権的請求権も独立に時効によって消滅することはない。

判例は、所有権に基づく返還請求権を所有権の一作用であって独立の権利ではないとし、所有権自体と同じく消滅時効にかからないとしている。166条2項が20年で消えるとするのは債権又は所有権以外の財産権である。

根拠民法166条2項大判大5.6.23

出典:法務省 令和5年度 土地家屋調査士試験を加工して作成

解説は、条文・通達・判例の原典に当たって書いたものです。根拠として挙げた条文はリンク先でそのまま読めます。

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