平成28年度・問1

土地家屋調査士 平成28年度 過去問・解答 問1

平成28年度土地家屋調査士試験の問1です。全5肢の問題文と○×の解答を掲載しています。

問題文・条件

AがBに対して100万円を貸し付けた後、その返還期日を経過した事例に関する。

肢 ア

H28-1-ア民法

AがBに対して、貸金の返還の催告をした後、その6か月以内に再び催告をしたときは、その時から6か月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

解答:×

催告により完成が猶予されている間に再度の催告をしても、そこから改めて完成猶予の効力は生じない。

最初の催告で6か月の完成猶予が生じるが、その猶予が続いている間にもう一度催告しても、そこから改めて6か月が延びることはない。

根拠民法150条1項民法150条2項

出典:法務省 平成28年度 土地家屋調査士試験を加工して作成

肢 イ

H28-1-イ民法

AのBに対する貸金返還請求を認容する判決が確定したときは、裁判上の請求によって中断した時効は、当該判決が確定した時から、新たにその進行を始める。

解答:○

裁判上の請求により確定判決で権利が確定したときは、時効はその事由が終了した時から新たに進行を始める。

現行法は「中断」を「更新」と呼ぶが、確定判決で権利が確定したときに時効が振り出しに戻る点は変わらない。起算点は裁判上の請求という事由が終了した時、すなわち判決が確定した時である。 出題当時の「中断」は現行法の「更新」に当たる。判決が確定した時から新たに進行する点は変わらない。

根拠民法147条2項民法147条1項1号

出典:法務省 平成28年度 土地家屋調査士試験を加工して作成

肢 ウ

H28-1-ウ民法

AがBに対して貸金返還請求の訴えを提起した場合には、その訴訟手続におけるAの権利行使の意思の表示は、その訴えが取り下げられたときにおいても、Bに対する催告として時効の中断の効力を有する。

解答:○

裁判上の請求が取下げにより権利の確定なく終了したときは、その終了の時から6か月を経過するまで時効は完成しない。

訴えの提起は147条1項1号の裁判上の請求にあたる。取下げによって権利が確定しないまま終了した場合は、柱書の括弧書により、終了の時から6か月を経過するまで時効は完成しない。 出題当時の「催告としての中断の効力」は、現行法では終了の時から6か月の完成猶予に当たる。

出題当時と現行法:出題当時は、訴えの取下げ後も催告としての効力が残るという判例で説明していた。現行法は147条1項柱書の括弧書に取り込み、権利が確定せずに終了した場合は終了の時から6か月の完成猶予が当然に生じるものとした。催告を経由する構成ではなくなったが、6か月猶予されるという結論は同じである。

根拠民法147条1項1号

出典:法務省 平成28年度 土地家屋調査士試験を加工して作成

肢 エ

H28-1-エ民法

時効の完成前にBがAに対して債務の一部弁済として50万円を支払ったときは、当該債務の残部について時効の中断の効力は生じない。

解答:×

債務の一部の弁済は承認に当たり、時効は残部を含む債務全体について更新する。

一部でも弁済すれば、その債務があること自体を認めたことになる。承認の対象は弁済した部分に限られず債務全体に及ぶから、残りの部分についても時効は振り出しに戻る。 出題当時の「中断」は現行法の「更新」に当たる。

根拠民法152条1項大判大8.12.26

出典:法務省 平成28年度 土地家屋調査士試験を加工して作成

肢 オ

H28-1-オ民法

時効の完成後にBがAに対して債務の承認をしたときは、Bは、その後その時効の援用をすることができない。

解答:○

時効の完成後に債務を承認した者は、完成を知らなかったときであっても、その時効を援用することができない。

判例は信義則を根拠に、承認した者による援用を許さないとした。時効の完成を知らなかった場合でも同じである。

根拠最大判昭41.4.20民法1条2項

出典:法務省 平成28年度 土地家屋調査士試験を加工して作成

解説は、条文・通達・判例の原典に当たって書いたものです。根拠として挙げた条文はリンク先でそのまま読めます。

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