Aの任意代理人Bが、Aのためにすることを示して、Cからその所有する建物を買い受けた場合において、Bが当該建物に瑕疵があることを知っていたときは、Aは、Cに対し、売主の瑕疵担保責任を問うことができない。
解答:○
意思表示の効力が、ある事情を知っていたこと等によって影響を受けるべき場合には、その事実の有無は代理人について決する。
知っていたか否かは代理人を基準に判断する。Bが瑕疵を知っていた以上、Aは知らなかったとは言えない。
改正前の瑕疵担保責任の事案。代理人が瑕疵を知っていた以上、本人は知らなかったとはいえない。
出題当時と現行法:出題当時の売主の瑕疵担保責任(旧570条)は、令和2年施行の改正で契約不適合責任(562条以下)に組み替えられ、買主が知っていたかどうかは要件の形では残っていない。もっとも、知っていた不具合は契約の内容に取り込まれているとみるのが通常なので、代理人が知っていた瑕疵について本人が責任を問えないという結論は変わらない。101条1項自体は改正後も同じ内容である。
根拠民法101条1項
出典:法務省 平成29年度 土地家屋調査士試験を加工して作成
Aから何らの代理権も与えられていないBが、Aのためにすることを示して、A所有の不動産をCに売却した場合において、Cが、Bに売買契約を締結する代理権があると信じ、そのように信じたことに正当な理由があるときは、表見代理が成立する。
解答:×
何らの代理権も与えられていない者の行為には、権限外の行為についての表見代理は成立しない。
110条は「代理人がその権限外の行為をした場合」を前提とする。つまり何らかの代理権が先にあって、それを越えたときの話である。Bにはもともと代理権がまったくないので、越えるべき権限も存在しない。109条の代理権授与の表示もされていない。信じたことに正当な理由があるだけでは足りない。
根拠民法110条民法109条1項
出典:法務省 平成29年度 土地家屋調査士試験を加工して作成
未成年者も任意代理人になることができるが、未成年者のした代理行為は、その法定代理人が取り消すことができる。
解答:×
制限行為能力者が代理人としてした行為は行為能力の制限では取り消せず、未成年者も代理人にできる。
102条本文により、制限行為能力者が代理人としてした行為は行為能力の制限によっては取り消すことができない。未成年者のした代理行為を法定代理人が取り消せるとする本肢は誤り。
根拠民法102条
出典:法務省 平成29年度 土地家屋調査士試験を加工して作成
本人Aの許諾を得て任意代理人Bが復代理人Cを選任した場合には、Bは、Aに対し、Cの選任につき責任を負わない。
解答:×
本人の許諾を得て復代理人を選任しても、代理人はその責任を免れない。
104条が定めているのは、どういうときに復代理人を選任できるかだけである。選任した後の責任は委任契約の債務不履行の一般則によるから、選任や監督に落ち度があればBは責任を負う。許諾を得たというだけで一切免れるわけではない。
根拠民法104条このサイトで定めたルール(規定なし)
出典:法務省 平成29年度 土地家屋調査士試験を加工して作成
代理権を有しない者がした契約の本人による追認は、その契約を相手方が取り消した後は、することができない。
解答:○
無権代理の契約は、本人が追認をしない間は相手方が取り消すことができ、取消し後は本人が追認することができない。
無権代理の契約は宙に浮いた状態にあり、本人の追認と相手方の取消しのどちらが先に来るかで決まる。相手方が先に取り消せば契約は確定的に効力を失うから、後から本人が追認しても戻すものがない。
根拠民法115条
出典:法務省 平成29年度 土地家屋調査士試験を加工して作成
解説は、条文・通達・判例の原典に当たって書いたものです。根拠として挙げた条文はリンク先でそのまま読めます。