平成23年度・問1

土地家屋調査士 平成23年度 過去問・解答 問1

平成23年度土地家屋調査士試験の問1です。全5肢の問題文と○×の解答を掲載しています。

肢 ア

H23-1-ア民法

Aが、Bに強迫されて、A所有の甲土地をBに売り渡して所有権の移転の登記をし、さらに、Bが事情を知らないCに甲土地を転売して所有権の移転の登記をした場合には、Aがその後にAB間の売買契約を強迫を理由として取り消したとしても、Aは、Cに対して甲土地の所有権を主張することはできない。

解答:×

強迫による意思表示の取消しは、善意の第三者に対しても、登記がなくても対抗することができる。

3項が対抗を制限するのは詐欺による取消しだけで、強迫による取消しについてこれに当たる定めがない。

根拠民法96条3項

出典:法務省 平成23年度 土地家屋調査士試験を加工して作成

肢 イ

H23-1-イ民法

AとBが通謀して、A所有の甲土地をBに仮装譲渡して所有権の移転の登記をし、さらに、Bが仮装譲渡の事実を知らないCに甲土地を転売し、その後、CがC仮装譲渡の事実を知っているDに甲土地を転売した場合には、Aは、Dに対して甲土地の所有権を主張することはできない。

解答:○

善意の第三者が権利を取得した後は、そこからの転得者は悪意であっても有効に権利を承継する。

Cが仮装譲渡の事実を知らずに買い受けた時点で、Cは確定的に所有権を取得する。いったん善意の第三者が権利を取得した後は、そこからの転得者は悪意でも有効に権利を承継する。

根拠にした通達・先例の原文には、当たれていない部分があります。

根拠民法94条2項大判大3.7.9最判昭47.5.27

出典:法務省 平成23年度 土地家屋調査士試験を加工して作成

肢 ウ

H23-1-ウ民法

Aが、A所有の甲土地を売り渡すつもりで、錯誤によりA所有の乙土地をBに対して売り渡した場合には、Aに重大な過失があるときであっても、Bは、当該売買契約の無効を主張することができる。

解答:×

取り消せるのは法が挙げる取消権者だけで、だれでも主張できるのは無効の性質である。

錯誤に陥ったのはAであり、相手方Bの側から売買契約の効力を否定する主張はできない。 改正前の「無効」の主張として出題されているが、現行法の取消しについても、主張できるのは表意者側に限られる。

根拠民法120条2項最判昭40.9.10

出典:法務省 平成23年度 土地家屋調査士試験を加工して作成

肢 エ

H23-1-エ民法

Aが、Bにだまされて、A所有の甲土地をCに売却した場合には、CがBによるAに対する詐欺を知らなかったときであっても、Aは、AC間の売買契約を取り消すことができる。

解答:×

第三者が詐欺を行った場合は、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り取り消すことができる。

売買契約はAとCの間の契約で、だましたBはその当事者ではないから、第三者が詐欺を行った場面である。相手方Cが詐欺を知らず、知ることもできなかったときは、Aは取り消せない。

出題当時と現行法:出題当時の民法96条2項は、第三者が詐欺を行った場合、相手方がその事実を知っていたときに限り取り消せるとしていたので、詐欺を知らなかったCとの売買契約は取り消せず、公式解答は✕だった。平成29年改正(令和2年4月1日施行)で「知り、又は知ることができたとき」に改められたので、現行法では、Cが詐欺を知らなくても知ることができたときは、Aは取り消せる。知ることもできなかったときは取り消せないので、知らなかったというだけで取り消せるとする本肢は、現行法でも誤りである。

根拠民法96条2項

出典:法務省 平成23年度 土地家屋調査士試験を加工して作成

肢 オ

H23-1-オ民法

Aが、A所有の甲土地を売却するに当たり、Bにその代理権を与えていたところ、Bが、売買代金を着服する意図で、甲土地をCに売却した場合において、Cが、Bの着服の意図を知らなくても、その意図を知ることができたときは、Aは、当該売買契約の無効を主張することができる。

解答:○

代理権の濫用は、相手方が目的を知り又は知り得たときに限り無権代理とみなされる。

代金を着服する意図での売却は、代理権の範囲内の行為を自己の利益を図る目的でしたものに当たる。無権代理とみなされるから、Aは追認しない限り効果の帰属を否定できる。

根拠民法107条

出典:法務省 平成23年度 土地家屋調査士試験を加工して作成

解説は、条文・通達・判例の原典に当たって書いたものです。根拠として挙げた条文はリンク先でそのまま読めます。

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